関東一〈東東京〉米澤 貴光監督
「大舞台での実戦が選手を一番成長させてくれた」
今夏全国高校野球選手権大会で初準優勝
今夏の全国高等学校野球選手権大会で準優勝となった関東一。就任24年目の米澤貴光監督が率いるチームは、甲子園で一戦一戦勝ち上がり決勝へ進出。決勝戦はタイブレークの末に惜敗したものの準優勝という結果をつかんだ。
過去の積み重ねが甲子園準優勝になった
東東京大会初戦の3回戦・芝戦は、シード初戦の難しさもあり苦戦すると3対3で延長タイブレークに突入し、なんとか勝ち切った。準決勝で二松学舎大附、決勝で帝京というライバルに勝利して5年ぶりに甲子園切符をつかんだ。2019年夏に甲子園に出場し、コロナ禍を経て5年ぶりの東東京大会制覇となった。
「うちは中学時代に突き抜けて実績を残したスター選手の集団ではありません。今回の甲子園出場校でも体は小さいほうだと感じましたし、2年半努力して成長していけるチーム。スーパースターはいません。これまでの選手たちも必死に練習してくれていましたが、先輩たちが見せてくれた姿が、この世代の結果につながったと思います」
甲子園では初戦の2回戦から簡単な試合はなかった。3回戦では明徳義塾と接戦を演じると、坂本慎太郎、畠中鉄心、坂井遼の継投によって3対2で勝ち切った。準々決勝の東海大相模戦では、主砲・高橋徹平が相手エース藤田琉生から先制のソロ本塁打を放つと、先発・畠中が9回途中まで1失点の好投。最後はクローザー坂井が締めてベスト4へ進出した。準決勝・神村学園戦は、大後武尊が先発して勝利につなげた。3回戦から準決勝までの3試合はすべて1点差の勝利。全員が成長した結果が決勝進出につながった。
「東東京大会から甲子園までやるべきことは同じでした。1試合を終えて、ゲームでの課題をみんなで話し合って、反省して、次へつなげていったことがすべてです。東東京大会での6試合、甲子園での5試合を経験できたことが一番大きかったと思います。実戦が選手を一番成長させてくれるとあらためて感じました」
準決勝の9回裏には、センター飛田優悟が相手ヒットから好返球をみせて本塁でランナーを刺した。土壇場でのビックプレーもチームを勇気付けた。
「たまたま、かもしれませんが、それができるように練習から繰り返し努力をしてきました。うちは際立った打力があるわけではなかったので、守備で戦っていくしかありませんでした。飛田のプレーだけではなく、選手たちが一つ一つのアウトを積み上げてくれた結果が準優勝になりました。あれが、関東一が目指した、精一杯の戦いだったと思います」
甲子園の宿題は次のステージへ
決勝・京都国際戦は9回までスコアレスで決着せず延長タイブレークの末に1対2で惜敗となった。関東一の選手たちは、最後まであきらめない戦いをみせた。
「甲子園は選手を成長させてくれる場所。決勝戦まで選手たちがやるべきことを実践してチームのために戦ってくれました。選手たちが一生懸命やってくれた結果が準優勝だったので、よくやってくれたと感じますし、選手たちには感謝しています。自信になった部分もありますが、課題もあったと思います。3年生たちは、それぞれの次のステージで決勝での課題をクリアしてほしいと考えています。甲子園は終わりましたが、みんなのチャレンジは続いていくと思います。この夏、多くの方々に応援してもらったことへの感謝の気持ちも持ち続けてほしい」
3年生の戦いは区切りとなり、秋からは新チームでの戦いとなる。
「2年生も残っていますが、甲子園準優勝はリセットして次へスタートするだけです。うちは強いチームではないので、またチャレンジャーとしてひたむきに戦っていくだけ。この夏の戦いは、これからのチームに大きなヒントを与えてくれたと思っています。うちだけではなく、勝ち上がったチームの戦いは、全国のチームのヒントになると感じます。走攻守の基本は、選手の努力によって習得されていきます。この夏のようにやるべきことを徹底して、また甲子園に戻れるように頑張っていきます」