【実践学園】  「自己実現」

2023年夏ベスト8進出、進撃のタスキ
個性を活かすマネジメントで飛躍

2005年春に都大会準優勝の実績を持つ実践学園は、2020、2023年夏の東東京大会でベスト8進出を果たすなど地力を伸ばす。ベテランOB指揮官が率いるチームは、野球を楽しみながら進化している。

■73歳のベテランOB指揮官

練習場の雰囲気の良さが結果につながっている。実践学園は2018年度より、スポーツ・サイエンスコース(SSコース)を設置。野球部、サッカー部の生徒たちは八王子の高尾教育・研修センターで部活と勉強の両立を図っている。野球部は人工芝の恵まれた環境で野球を楽しみながら練習に励み、グラウンドには活気ある声が響いている。練習を見守るのは73歳のベテランOB指揮官・網代潤一監督だ。ジュニア東京選抜の監督を務め国際大会で指揮経験を持つ網代監督は「生徒たちは、孫と同じ世代。ノックなどは若い先生たちに任せて、自分は生徒たちの成長を見守っていくだけ。選手たちの戦いに一喜一憂しながら楽しませてもらっています」と微笑む。

■各選手の力を融合する

網代監督は2005年春都大会で準優勝の実績を残すと、一度は監督を退いたが2021年秋から再登板。選手の長所を活かすマネジメントで、チーム全体を底上げしている。ベテラン指揮官は「野球指導を取り巻く環境や時代は変わっても、ボールは丸く、ベース間の距離も変わっていない。基本を徹底して、試合を楽しめる選手になってほしい。スター選手はいないので、それぞれの力を融合することが大切だ」と話す。2023年夏にはノーシード参戦ながらも4回戦で東京成徳大高を撃破して勢いに乗ると、続く5回戦でも日本ウェルネスに逆転勝利してベスト8へ進出した。準々決勝では城西大城西に屈したが、実践学園のスタイルを体現してみせた。

■投打ともに伸びしろ十分

実践学園の選手たちは学年の枠にとらわれず、伸び伸びと練習に打ち込み、野球を通じて自己実現を追求している。今季のチームは、長谷川巧磨主将(2年=捕手)を軸に、大金優馬(2年=外野手)、藤代大空(2年=外野手)、細沢斗輝(2年=外野手)ら打撃陣が力強い打球を飛ばし、投手陣は最速138キロの本格右腕小川裕大(2年)、林恭佑(2年)と半澤陸(2年)のダブルサウスポーが力を伸ばす。チームは年末年始に、近くの神社の100段階段を何度も登って心身を鍛え上げた。1月の初練習では、高尾山へ登頂し2024シーズンのスタートを切った。長谷川主将は「実践学園らしい積極的な戦いをみせて去年の夏(ベスト8)を超えていきたい」と胸を張る。野球を楽しみ、チームを愛する選手たちが輝く季節が、もうすぐやって来る。

 

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