「公立No.1」から「神奈川No.1」へ
「自主性」を重視した文武両道チーム
2018年夏ベスト8、2022年夏ベスト16などの結果を残す横浜市立金沢。私学相手に真っ向勝負を演じるチームは、「自主性」を重視した練習で進化を遂げていく。
■2022年秋に飛田がソフトバンク入団
神奈川県内で「公立No.1」の称号を得るチームの一つだ。文武両道の精神を掲げて野球と学業を両立。各大会では私学強豪相手に一歩も引かない戦いをみせていく。2018年には春・夏連続でベスト8へ進出。さらに2022年春・夏には2大会連続でベスト16へ駒を進めている。さらに2022年秋には、飛田悠成がソフトバンクから育成指名を受けてプロ入りを果たしている。飛田はもともと遊撃手だったが、横浜高出身の吉田斉監督に投手としての才能を見出されて高校2年秋からピッチャーも兼任。ソフトバンクが、伸びしろに注目して指名に至った。金沢は結果とともに、選手育成も評価されている。
■選手のやる気を大切にする
「自主性」がテーマだ。金沢は、練習時間が決して多くない状況で、選手たちが隙間時間を見つけて努力を重ねている。吉田監督は「金沢の選手たちは、チームビジョンを理解して自主的に行動してくれる。全体練習後には課題を見つけて、黙々と自主練に取り組んでいる。選手のやる気を大切にして背中を押してあげることで成長していく。今年は2年生レギュラーも多い若いチームだが、経験を重ねるごとに強くなっている」と選手を見守る。選手たちはチームミーティングでも意見を共有し、全員でチームを作り上げていく。引退後は野球で培った集中力を生かして勉強に取り組み、高い進学実績を挙げているという。
■ダブルエースを軸に打倒私学へ
今年のチームは、最速140キロのストレートを投げ込む公立屈指の本格派右腕・二見桜輔(3年)と、変幻自在の変化球を操る実戦派サウスポーの宮永雅咲(3年)のダブルエースが確立されて、屋台骨が形成されている。野手陣は、米山翔真主将(3年=内野手)、走攻守三拍子揃った好プレーヤー丸山陽生(3年=外野手)、2年生主砲の太田大雅(捕手)らが攻撃のアクセントとなる。昨秋は2回戦で東海大相模に敗れたが、今春は進化の一端をみせた。米山主将は「練習試合から勝負にこだわってプレーしていく。私学を倒して勝ち上がっていく」と力を込める。
「公立No.1」から「神奈川No.1」へ。金沢のチャレンジは、横浜スタジアムへとつながっていく。