新体制となり迎える初めての春
失敗を恐れない選手たちが雪辱を期す

2023年秋季大会後に監督が変わり、新体制となった昭和一学園。助監督や責任教師として長くチームに携わる中島勇気教諭が監督に就き、選手たちは指導者らと密にコミュニケーションを取りながら前向きに個々の課題と向き合っている。

■目覚ましいチームの成長

昨夏は2回戦で駒大高に2対5で敗れ、7年ぶりの初戦敗退。昨秋は一次予選で武蔵野北に9対6で競り勝ったが、大東大一に2対3で惜敗した。秋季大会終了後に2014年秋からチームを指揮した田中善則監督が退任。社会人シダックス時代に故野村克也氏のもとでコーチを務めた田中監督からバトンを受けた中島監督は「選手やチームは毎日成長している。『こんなに短期間で伸びるのか』と感じ、12月は特に楽しかった。指導陣だけではなく、選手たちも成長を実感していると思う」と手応えを感じ始めている。

■監督が全幅の信頼を寄せるスタッフ陣

中島監督は大学卒業後、昭和一学園に着任。助監督や責任教師としてチームに携わり、多田倫明監督、田中監督を支えた。2人の監督から学んだことも取り入れ、選手たちには自分たちで考え行動する“自走”を求めている。「少しずつ自分たちで課題や練習の目的を考えるようになり、表情も生き生きとしている。選手から指導陣への提案も増えてきた」と成長に目を細める。田中勇人助監督、木内将貴顧問は共に同校OBで中島監督の教え子。そして高橋悠介責任教師は、中島監督の桐朋時代の同期だ。頼もしいスタッフ陣が指揮官を支えている。選手たちと年齢が近い指導者も多く、練習中は選手と指導者が密にコミュニケーションを取る。時には指導者もトレーニングに交じり、共に汗を流しながらレベルアップを図っている。

■悔しい思いを晴らすシーズンに

エース右腕の有馬朋吾主将(3年)は力感のないフォームからの速球やスライダー、フォークを効果的に活用し「総合力で勝負する」。有馬に加え、伸びのある速球やくせ球が持ち味の佐藤空輝(3年)、怪我から復帰目前の木村俊介(3年)など複数枚の投手が控える。野手の中心は中軸を任される岸野真也(3年=内野手)、松田朋己(3年=外野手)、青木琢翔(3年=外野手)。岸野と松田はチームの副主将も務め、青木は長打力もあり、力強いスイングが持ち味だ。中島監督は「選手たちにはミスをした時こそ前向きに、うまくなるチャンスだと伝えている」とグラウンドでの失敗もむしろ歓迎している。有馬主将は「監督やコーチが『失敗しながら学んでいこう』という雰囲気をつくってくれるので、グラウンドでは恐れずに挑戦できている。個人としてもチームとしても、悔しい思いをたくさんしてきたので、雪辱を果たすシーズンにしたい」と意気込んでいる。昭和一学園の下剋上が始まる。

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