特別進学コースから初の東大合格
学校の追い風を力に野球部も甲子園へ

東毛地区で着実に進化をみせる常磐。県立で長きにわたって指導したベテラン金子繁監督が率いるチームは、甲子園へ向けて舵を切る。

■「東大合格特別プロジェクト」で成果

今春、常磐に学校としての吉報が届いた。近年は運動に加えて進学にも力を入れてきたが、特別進学コースから学校初の東大合格者が出た。同校が2021年にスタートさせた「東大合格特別プロジェクト」の1期生が、最初の受験年度で結果を残したという。常磐は、これまで運動部で、陸上部、サッカー部が全国大会へ出場するなど実績を残してきた。野球部には近年、地元の有望選手が集まるようになり、初の甲子園へ向けて熱が高まっている。金子監督は「初の東大合格は、野球部にとって大きな勇気になる。学校全体の“追い風”に乗って、野球部も結果を残していきたい」と語る。

■「チーム作り」は「人作り」

常磐の基盤を作ってきたのは、ベテランの金子監督だ。太田市商(現市立太田)、太田工で30年に渡り指揮を執り、春優勝1回、秋優勝2回、春夏計6度関東大会に出場し、1996年に選抜出場を果たした。また夏は4度の準優勝を誇り、3人のプロ選手を育て上げた。県立定年後の2017年度に常磐から誘われて着任し、同年秋から監督を務める。2016年度までは県外出身の選手が多かったが、地元太田をはじめ東毛エリアなど、県内近郊や近隣・足利市の選手中心のチーム作りに切り替えた。同時に学校生活を含めた人間教育も徹底。金子監督は「人作りができてくると、ゲームが作れるようになっていく」と話す。チームは昨年から髪型自由に方向転換。グラウンドには選手たちの明るい声が響き、チームは活気付く。

■強豪に立ち向かう土台

チーム力は確実に高まっている。ただ、近年の大会では序盤に健大高崎や桐生第一などの強豪と対戦するケースが多く、壁を越えることができていない。2021年夏は3回戦で健大高崎、2022年夏は3回戦で桐生第一に屈した。新チームで迎えた昨秋は1回戦で伊勢崎商に快勝すると、2回戦では桐生市商に競り勝ったが、3回戦で太田に6対7で敗れた。再起を誓うチームは冬に基礎を徹底したほか、フィジカルアップを試みてスケールは高まった。投手陣は、中里颯太(3年)と加藤聖徠(3年)が成長。打撃では飯野煌(3年=内野手)、小岩海斗(3年=捕手・外野手)のクリーンアップが迫力を増す。清水愛輝斗主将(3年=捕手)は「チームの雰囲気が良く、みんなで盛り上げていけるチーム。夏は勝利にこだわって戦っていく」と力を込める。士気高まる常磐は、新たな時代を作っていく。

おすすめの記事