2013年の西東京準優勝から11年目の夏
困難を乗り越え仲間と共に目指す甲子園

2013年の西東京大会で準優勝となった実績を持つ日野。あれから11年、「都立の星」は次なる未来を切り拓くためにグラウンドに立つ。

■私学実力校相手に真っ向勝負

あの夏は、まぶしかった。2009年夏・秋にベスト4へ進出、2013年夏には国学院久我山、明大八王子、国士舘などに勝利して決勝の舞台まで駆け上がった。甲子園まで“あと1勝”に迫ったが、決勝戦で日大三に敗れて惜しくも準優勝となった。初の甲子園切符はつかめなかったが、その戦いは「都立の星」というフレーズとともに高校野球ファンの脳裏に焼き付いている。チームはそれ以降も私学実力校相手に真っ向勝負を演じてきたが、甲子園にたどり着くことはできていない。決勝進出から11年が経過し高校野球の“環境”も変化。都立にとって甲子園出場への“難易度”は上がっているが、日野の選手たちは価値あるミッションにチャレンジしていく。

■都立でも勝てることを示したい

2021年からの夏は、私学の壁を越えることができていない。2021年夏は4回戦で世田谷学園に0対1で惜敗。2022年夏は2回戦で創価に4対6で屈した。昨夏は4回戦で早稲田実に敗れた。いずれも私学実力校が相手で、悲観すべき結果ではないが、その壁を越えることが頂点へ進むための条件となる。八丈、小平西などを指導し2008年からチームを率いる嶋田雅之監督は、選手たちに「都立のプライド」を植え付けながらチーム強化を図る。嶋田監督は「スカウティングに力を入れるチームが多い中で、うちは来てくれた選手で戦うだけ。そのためには、勝てるチームにしなければいけない。都立でも勝てることを示していきたい」と語る。

■野球ができることに感謝

夏にすべてを懸ける覚悟だ。今年のチームは、主砲・池島悠空(3年=内野手)らレギュラーの半数が昨夏を経験していながら、秋は1回戦で工学院大附に屈した。昨季からマスクをかぶる平沢仁一郎(3年=捕手)は「去年から試合に出ていた選手が多い中で、チームとして戦うことができなかった」と振り返る。春大会は部内の問題によって参加することができなかった。チームは自分の弱さと向き合い、仲間の大切さに気付きながら、もう一度、結束した。長谷川太智主将(3年=内野手)は「今季は大会で1勝(秋予選)しかできていない。野球ができることに感謝しながらチーム一丸となって戦っていきたい」と話す。日野は、プレーできる喜びを感じながら原点に立ち戻って“最後の夏”へ向かう。夏が、選手たちに力を与えていく。

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