今夏こそ2012年以来の甲子園へ
考える野球をベースに走攻守でレベルアップ
静岡の夏を3回制覇している常葉大橘。今夏はシード校として、12年ぶりの聖地へと一丸となって鍛錬を重ねている。(取材・栗山司)
■元気溢れるノック
15時30分の練習開始に合わせてグラウンドに着き、しばらくすると高橋利和コーチによるノックが始まった。
途端に選手たちの威勢のいい声がグラウンド中に響き渡る。全員が声を張り上げて1球1球に集中する。高橋コーチの「まだまだ元気ないぞ」の檄に、さらに選手のテンションが上がっていく。その盛り上がりはノックの間、一度も途絶えることがなかった。「バカみたいに元気に声を出す」。これが常葉大橘の合言葉だ。
■攻撃の精度を上げる
今年はシード校として、2012年以来となる甲子園を狙う。片平恭介監督は「夏に向けて核となる選手が出てきてくれたのが大きい」と手ごたえを口にする。チームの中心となるのが木下瑞貴(3年)。主将でエース、中心打者も務める大黒柱だ。この春、球速を一気に伸ばして県大会では最速となる143キロを計測。夏は140キロ台後半まで上げたいと意気込む。
打線はトップバッターに俊足強打の岩間大祐(3年=外野手)が定着。走者を貯めて、4番のスラッガー・青木瑛信(3年=外野手)、5番・木下が還すパターンが確立している。
機動力の高さもウリだ。ここ数年の常葉大橘は走塁への意識が高い。塁に出たら、とにかく走りまくる。失敗したとしても、次から次へチャレンジしていく。「盗塁はほぼノーサインで走っています」と木下は明かす。走者が自分の判断で走り、例え打者が打ってもエンドランの形になってチャンスが広がる。「自分たちは1年生のときから考えることの大事さ教わってきて、それが自然と身についているんです」。(木下)
夏までの課題はその精度をさらに上げていくこと。片平監督は「もっともっと失敗を恐れることなくチャレンジしてもいい」と選手を乗せている。
■目標は甲子園で勝つこと
この冬は個々のレベルアップにも励んだ。練習量をこなすため、学年ごとに分かれて汗を流す日もあった。
一方で秋は打線のつながりを欠く場面も目立った。あらためて各々の役割を確認し、チーム全体で勝つという意識を高めていった。
秋春はともにベスト16。夏に向かって、どこまで上積みができるかがカギとなる。
木下は「3年生が10人と少なく、3年生にかかるプレッシャーは大きくなりますが、その分、団結力はどこにも負けない」と意気込む。
目標は甲子園で勝つこと。チーム一丸となり、常葉大橘らしく元気よく夏も駆け抜ける。