真面目にコツコツ自らと向き合ってきた選手たち
最速140キロエースを擁して実力で甲子園狙う
選手たちのセルフマネジメント能力を生かした部活運営で、確実な成長を遂げている沼津東。創部120年の今年、甲子園出場を果たしメモリアルイヤーに花を添えたい。(取材・栗山司)
■選手たちが練習メニューを決める
今年、創部120周年の沼津東。県下有数の進学校として名を馳せる。
チームを率いるのは就任3年目の鈴木省工監督だ。「赴任したときに驚いたのは監督目線でプレーしている選手が何人もいたこと。これを生かさない手はないなと思いました」。
前監督の勝又健太氏(現小山副部長)時代から引き継がれている「考動」と名付けられたスローガン。鈴木監督は自ら考えて行動する選手たちを頼もしく感じ、特徴を最大限に生かすチーム作りに舵を切った。
現在、基本的な運営は選手たちが主体的に行っている。打撃課、守備課、体作り課、情報課など、8つの課を設置。3年生の16人が課長と副課長になり、日々の練習メニューを主将の大石和翔(3年=捕手)に提案する。最終的には大石が決め、鈴木監督に報告するというシステムをとっている。「進学校の長所は頭を使って野球ができることだと思うので、他の学校と差をつけるためにも必要なことだと思っています」と大石主将。練習メニューに限らず、試合に出場するメンバー、試合中の投手の継投、守備のポジショニングなども鈴木監督と一緒に考える。
■体重10キロ以上の増加が8人
鈴木監督就任後、体作りにも力を入れている。平日の練習時間は限られ、2時間ほどしか活動できない日もあるが、年間を通してトレーニングは欠かさない。入学時から10キロ以上の体重増加が8人もいるほど。私学の選手に引けを取らない体躯を手に入れている。「私も高校時代、体が小さいながらもトレーニングしたことで夏の大会でホームランを打つことができました。特に、沼津東の生徒はコツコツと努力ができるので、成果が出ています」(鈴木監督)。
■歴史を変えるのは今年
土台が出来上がり、あとは結果を出すだけだ。
注目はエースの近藤秀太(3年)。しなやかなフォームから最速140キロを叩き出す。攻撃陣も活発。特に上位打線は破壊力がある。
昨秋は県予選の初戦で強豪の御殿場西と激突。前半で畳みかけて圧勝した。
県大会の初戦は近藤が3安打完封。しかし、続く駿河総合戦は投手陣が2安打に抑え、打線も10安打を放ったものの、最終的に1対2で敗れた。
春も県大会の初戦で駿河総合に上位進出を阻まれた。5対5で延長戦に突入。迎えた12回、表の駿河総合に4点を許すと、その裏、無得点に終わった。
大石主将は力強くこう話す。「秋も春も接戦で負けて課題は明確。夏はこれまでやってきたことを出し切ればチャンスはあると思っています。僕らの代で行くしかない。歴史を変えるのは今年しかないと思っています」。
メモリアルイヤーに甲子園へ―。使命感を持って、勝負の夏に挑む。