昨夏に悲願の夏甲子園初出場&初勝利
新チームが狙うのは「自分たちの初優勝」

昨夏に悲願の夏甲子園初出場、そして甲子園初勝利を成し遂げた石橋。2023年春の選抜21世紀枠初出場をきっかけに、劇的な進化を遂げたチームの物語は第二章へ突入していく。

■夏の甲子園で歴史的勝利

昨夏の甲子園では「石橋フィーバー」が巻き起こった。2023年春に21世紀枠で甲子園初出場を決めた石橋だが、甲子園を経験した入江祥太(3年)らのメンバーが残っていた昨夏の栃木大会でミラクル劇をみせた。準決勝で作新学院に3対1で勝利し決勝へ駒を進めると、決勝・国学院栃木戦では初回に5失点するまさかの展開へ。福田博之監督が「決勝戦はコールドがない。落ち着いて1点ずつ返していけばいい」と伝えると、選手たちはゲーム中盤までに点差をひっくり返して9対8で勝ち切ってみせた。それは悲願の夏甲子園初出場の瞬間だった。栃木代表として聖地へ乗り込んだチームは初戦・2回戦で聖和学園(宮城)に勝利して歴史的勝利を挙げた。

■「選手が甲子園に導いてくれた」

福田監督は3度目の21世紀枠推薦での挑戦で、2023年春の選抜切符を手にしている。そして1年半後に、栃木大会を制して夏切符を奪い取った。指揮官は「21世紀枠での選抜出場は通過点。夏の甲子園は、選考ではなく自分たちでつかみ取ったもの。雰囲気を含めて『本物の甲子園』だった。若い頃は、『自分が甲子園に連れていってやる』と意気込んでいたが、生徒たちに甲子園に連れていってもらった」と甲子園を振り返る。福田監督は昨年12月に開催された指導者育成研修会「甲子園塾(兵庫県)」で特別講師を務めた。指揮官は「私が伝えられることはほとんどない。やらされる練習ではなく、選手たち自ら練習する環境を作ることが大切。ちょっとの差が勝利につながっていくと感じた」と説いた。福田監督の姿勢は、甲子園前後で何も変わらない。新チームではまた1からのスタートという。

■甲子園後に新チーム始動

 新チームは、夏甲子園後に始動した。8月中旬までAチームが甲子園に滞在したため、おのずと新チームの準備は遅れてしまった。しかし、連覇への期待は当然懸かってくる。杉浦悠成主将(2年=内野手)、前チームでも主軸を任された鈴木雅明(2年=捕手)ら甲子園経験プレーヤーが軸となったが、秋大会は3回戦で宇都宮南に4対5で屈した。選手たちは自分たちの現在地を再認識し、必死の練習を続ける。杉浦主将は「プレッシャーはあるが、自分たちの色を出していく。目指すのは、2連覇ではなく、自分たちのチームでの初優勝。スター選手はいないのでチーム全員で努力していく」と黙々とバットを振り込む。第二章へ臨む石橋は、甲子園の記憶をリセットして再び「日常」が戻っている。日々の練習の先にだけ甲子園があることを、選手たちは理解している。それが、甲子園の財産だ。

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