秋季ベスト8で21世紀枠の県推薦校選出
人間力向上から悲願の甲子園を目指す

 1992年以来の甲子園出場を目指す桐陽。秋季大会ベスト8進出を果たし、21世紀枠の県推薦校に選出された。限られた環境の中で、時間をやりくりしながら着実に甲子園への歩みを進めている。(取材・栗山司)

■秋はベスト8進出

1992年以来の甲子園に向けて歩みを進める桐陽が、春選抜大会の21世紀枠の県推薦校に選出された。11月14日に推薦校表彰状授与式が行われ、主将の亀田遼(2年=捕手)は「静岡の代表ということに部員全員が自覚を持ち、今まで以上に気を引き締めて頑張っていきます」と決意表明した。
 秋は県予選の初戦で延長10回タイブレークを制して勢いに乗った。県大会では浜松工と静岡学園に快勝。準々決勝では常葉大菊川に敗れたものの、中盤以降は互角に渡り合った。

■他校とグラウンド兼用

環境面は決して恵まれていない。専用グラウンド、室内練習場は持っているものの、学校からバスで20分の距離にあり、しかも系列校の飛龍との兼用。平日にグラウンドを使用できるのは月曜、水曜、金曜の3日間のみとなっている。新井晶登監督は「無駄な時間を減らし、やりくりの中でできることがある」とむしろプラスにとらえ、月に数回の割合でセミナーを開催。栄養講座や野球技術向上の座学、さらにはキャリアアップセミナーと題して、「野球がどうこれからの社会に生きてくるのか」を考える時間にあてている。
 また、チームビルディングの一環としてバッテリー、打撃、走塁、ビジョン、トレーニング、環境整備の6部門に各課長を設けている。新井監督は「リーダーとなり、一生懸命に仕事をこなすことによって責任感が増すと考えた」と将来に向けての人間力向上に期待を寄せる。

■夏の甲子園を目指して

今年のチームは戦力も充実している。投手陣はエースの望月佑哉(2年)に力のあるストレートを投げ込む鈴野佑月(2年)も台頭。バックの堅実な守りにも支えられて失点が計算できる。
 一方の攻撃は上位から下位までムラがなく、どこからも得点を奪うことが可能。中軸を担う亀田、赤池遥斗(2年=内野手)はスタンドに放り込める長打を秘めている。
 秋は目標のベスト8に進出。ただ、課題も浮き彫りとなり、チームとしての成長を止めない。「秋を通して守備からリズムを作る自分たちの野球ができました。ただ、最後の菊川戦では一つのエラーから崩れてしまって。大会後はもう一度見直して、一つ一つのプレーに対して全員で意見を言うようになりました」(亀田)
 春ベスト4、夏甲子園出場へ。聖地の匂いを身近に感じ、全力で冬を乗り越える。

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