2018、2020年夏ベスト4進出の雑草軍団
土屋恵三郎監督指導歴40年の節目に甲子園へ

星槎国際湘南は、雑草軍団だ。何度踏まれても必死に立ち上がる。2025年のチームスローガンは「一心」。部員全員の心を一つにして悲願の甲子園を目指す。

■監督40年、変わらない情熱

何年経っても情熱は変わらない。母校・桐蔭学園で30年に渡りチームを率いて10度の甲子園出場を果たした土屋恵三郎監督は、2015年から星槎国際湘南に舞台を移して生徒たちに寄り添っている。指導歴40年を迎えた土屋監督の教え子には元巨人の髙橋由伸、桐蔭学園現在監督・片桐健一らがいる。年末年始、星槎国際湘南のグラウンドには両校の多くの教え子たちが顔を出し、近況を報告していく。また、進路が決まった星槎国際湘南3年生も保護者と一緒に報告に来ていた。71歳の指揮官は「高校時代に控えだった選手が社会で活躍しているのを聞くと本当に嬉しい。企業で活躍していたり、教育現場で力を発揮していたりする教え子もいる。彼らの活躍を聞くと誇りに思う」と目を細める。野球指導は、結果だけの世界ではないことを教えてくれている。

■星槎に根付き出す「草魂の伝統」

星槎国際湘南での指導は10年が経過した。いまは1・2年生合わせて24人が全寮制で高校生活を送る。大磯の学校近くに住む土屋監督は毎朝午前5時半前に選手寮に行き、選手たちの朝練習を見守っている。「星槎の子どもたちもみんな野球が大好き。2年半、しっかりと向き合うことで全員が成長していく」。夏には毎年、力強い戦いをみせてスタンドを沸かせていく。2018年夏の南神奈川大会では準決勝で横浜と対戦して8対9で惜敗。2020年夏にもベスト4へ進出、2023年夏は3回戦で桐光学園と延長タイブレークの激闘(4対5)を演じている。草魂の伝統が根付き出している。

■悔いの残らない時間を過ごす

今年のチームは、過去と比較して個人の力はまだ足りないというが、まとまりで勝負していく。24人の選手たちは、攻守の要・千里清心(2年=内野手)、リードオフマン江藤童僧(2年=外野手)らを軸に切磋琢磨。春・夏に向けて地力を蓄えている。キーマンは、走攻守に高い力を持つ3番センターの河浦颯翼(2年)。河浦は「チャンスで一本を打って勝利に貢献したい」と話す。
 今季のスローガンは「一心」。選手それぞれの個性を一つにして全員で戦っていく。秋は2回戦で藤嶺藤沢に5対7で屈したが投打のポテンシャルは高い。千里主将は「昨夏も秋も悔しい思いをしたので春・夏に巻き返していく。悔いの残らない時間を過ごして夏の甲子園を目指す」と力を込める。土屋監督指導40年の節目に甲子園へ。選手たちは、心を一つに聖地を見据える。

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