自ら考え、判断し、行動できる選手へ
変化に挑戦、失敗に挑戦、自分に挑戦

 選手主体のチームマネジメントを目指す前橋南。安田智則監督就任4年目、選手たちが「主役」のチームは、次なるステージを目指して自らの意志でグラウンドを駆ける。

■後悔のない高校野球にしたい

「もっと練習がしたいです」「フィジカルをもっと上げたいです」。オフシーズン、選手たちが安田監督に“意志”を伝えた。文武両道を貫くチームは毎年冬の土・日曜は午前で練習を終えていたほか、隔週で日曜をオフにしていた。勉強時間と休息確保という配慮だったが、選手たちは“物足りなさ”を感じていた。指揮官は選手たちの意見を聞いた上で、土曜を終日練習にしたり、オフを返上したりして練習時間アップへつなげた。自分たちの意志で練習時間を増やした選手たちは、それぞれが弱点克服のための課題練習に専念したほか、チーム全体でフィジカルアップに取り組んだ。小澤一雪副将は(2年=内野手)は「自分たちは未完成だからこそ練習が必要。後悔のない高校野球にしたい」と話す。

■SAH野球で選手の力を引き出す

チームを率いる安田監督は前任で母校・前橋を率いた経験を持ち、2019年度から前橋南部長を経て2021年秋に監督となった。就任当初部員数は2年生7人、1年生8人の計15人。限られた人数でのスタートとなったが、選手主体のチーム作りに舵を切り選手の成長を促した。県内公立高校では野球部員減少の逆風が吹くが、「選手が主役」の前橋南の新たな取り組みは着実に広がり、1・2年生ともに11人が入部。現在はマネージャーを含めて23人が一丸となって練習と向き合う。4月以降に新入生が加われば、さらに弾みがつくだろう。前橋南は令和5年度(2023年)から県教委SAH(ステューデントエージェンシーハイスクール)指定校となった。「自ら考え、判断し、行動できる生徒の育成」が目的だが、野球部の目指す方向と同じ。前橋南は、SAH野球を実践していく。

■変化に挑戦、自分に挑戦

 今年のチームは、攻守の要・大山周悟主将(2年=外野手)と、ブレーン役の小澤副将の二人が軸となり、主体的に練習に励む。打撃陣は堀口大翔(2年=外野手)、永井仁騎(2年=内野手)のほか、投打に高いポテンシャルを秘める境野光成(1年=内野手・投手)らが力を伸ばす。大山主将、小澤副将を加えた上位打線は県内屈指。投手陣は、髙橋慎之介、大嶋貫太の1年生が球威を上げるほか境野も登板準備を進める。今年のチームスローガンは「挑」。マネージャーが「変化に挑戦、失敗に挑戦、自分に挑戦」のサブテーマを書き足したが、そのフレーズが前橋南の“航路”を照らす。大山主将にチーム目標を聞くと、少し間を置いた上で「甲子園です」という言葉が返ってきた。前橋南は本気で甲子園を狙えるチームになった。選手たちは遥かなる甲子園へ向けて自ら考え、判断し、行動していく。

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