
左腕エース中村を軸に夏・春連続出場
68年ぶりの選抜優勝視野に春の聖地へ
1月24日、第97回選抜高校野球大会の選考委員会が行われ、昨秋都大会準優勝・早稲田実の8年ぶり22回目の選抜出場が決まった。夏・春連続出場のチームは、68年ぶりの選抜優勝を視野に決戦へ挑む。(取材・大島裕史/撮影・伊藤大允)
■秋都大会決勝惜敗も総合力評価
1月24日、学校敷地内の入口近くにある小室哲哉記念ホールのステージに、選考委員会のライブ配信の模様が映し出された。選手は授業中だったためその場にいなかったが、和泉実監督をはじめ学校関係者が見守った。「早稲田実」の名前が発表されると、歓喜と同時に安堵の空気が広がった。和泉監督は「今回は準優勝ということで確定ではない立場なので、選んでいただいて非常にうれしく思います。関東地区の横浜が(明治神宮野球大会で)優勝してくれたことも含めて感謝しています」と表情を綻ばせた。
■中村、山中のバッテリーが甲子園を経験
秋都大会では決勝戦で二松学舎大附に敗れたものの、延長12回の激闘を繰り広げ、投打に力があるところを示した。東京・関東地区の選抜枠は例年6校。しかし昨秋に横浜(関東1位)が明治神宮野球大会で優勝し、関東地区が神宮枠(選抜1枠)を獲得。東京・関東地区が“計7枠”となったことも有利に働いた。昨夏の甲子園では2回戦の鶴岡東戦、3回戦の大社戦と、2試合連続の延長タイブレークという激闘を経験。夏甲子園の土を踏んだエース兼3番打者の中村心大主将と、4番山中晴翔(捕手)がチームの中心だ。「中村、山中のバッテリーが甲子園を経験していることが強みと思っている」と指揮官は語る。
■68年ぶりの選抜全国制覇へ
早稲田実は荒木大輔(元ヤクルトなど)投手の時代に1980年夏から1982年夏まで5季連続出場を果たしているが、夏春連続出場はその時以来になる。また選抜出場は清宮幸太郎(現日本ハム)が主将だった2017年以来8年ぶり22回目。中村主将は「日本一という目標に向けて進んでいければと思います」と落ち着いた口調で語った。
秋季都大会は、中村、山中のバッテリーの活躍が目立ったが、選抜で勝ち進むにはそれだけでは物足りない。「秋のメンバーのままでいこうとは思っていない。競争させながら、甲子園に臨みたい」と和泉監督は頷く。戦力を積み上げれば、選抜でも十分戦える力はある。早稲田実は1957年春に、偉大なOB王貞治(ソフトバンク球団会長)を擁して初の選抜優勝を成し遂げた。今春、68年ぶりの選抜全国制覇を目指しての戦いが始まる。


