
昨夏東東京大会ベスト4を超えていく!
夏は多摩川河川敷に優勝旗を持ち帰る
昨夏の東東京大会でベスト4へ進出した東京。先輩たちの好成績を受けて始動した今季のチームは、重圧を力に変えて優勝旗をつかみ取る。
■昨夏のチームが教えてくれたこと
昨夏の東東京大会で東京が快進撃をみせた。エース永見光太郎(青山学院大入学)を擁したチームは、5回戦で共栄学園を下すと準々決勝では日大豊山と対戦。0対4とビハインドで迎えたゲーム終盤に執念で同点に追いつくと、白熱のゲームは4対4で延長タイブレークへ。神宮球場の照明が灯された中での激闘は、奇跡の結末だった。4対5で迎えた11回裏二死満塁、バッターの打球はセカンド前へ転がり万事休すかと思われたが、一塁への送球が逸れた間に走者2人が生還して逆転サヨナラ勝利となった。最後まであきらめない姿勢がチームをベスト4へ導いた。松下浩志監督は「去年の3年生たちが神宮セミファイナルまでの道を切り拓いてくれた。その先へ進むのは次世代の選手だ」と話す。
■全員野球で優勝旗をつかむ
今季のチームは夏ベスト4後に始動した。夏のレギュラーは石川虎次郎(3年=内野手)のみ。メンバーの大半は、昨夏の戦いをスタンドから観ていた。指揮官は「新チームになったが周囲は夏4強のイメージを持っている。先輩たちの結果を自信に変えて、自分たちの野球をしよう」と伝えて起動を図った。選手たちが掲げたスローガンは「夢叶人(ドリーマーズ)」。先輩たちの夢の続きを追ってダイヤモンドに立つ。目標は「土手に優勝旗を」。東京は、学校裏手の多摩川河川敷で練習に励むが、歴代の選手たちが汗と涙を流した土手に優勝旗を掲げる覚悟だ。中谷拳州主将(3年=内野手)は「絶対的な選手はいないが、全員野球で優勝旗をつかみ取りたい。先輩たちと比較して力は足りないので全員の力で這い上がっていく」と情熱を燃やす。
■東京「夏の陣」第2章開幕
東京では、2023年から朝の「食トレ」を実行している。選手たちは午前7時半に集合し、それぞれ持参した白米約2合をたいらげる。練習後の補食も徹底したことで選手たちの平均体重は1年間で10キロ近くアップ。それが昨夏のブレイクにつながった。今年のチームは、多彩な変化球と投球術を兼ね備えるサウスポーエース松本恒星(3年)と、2年生ながら正捕手を務める田中颯人のバッテリーが軸となり守備からゲームを作っていく。右腕・海老原優斗(3年)も力を伸ばす。打線は中谷主将、石川のほか長沼徠人(2年=外野手)もシャープな打撃をみせる。昨夏の経験を力に変える石川は「先輩たちの思いを引き継ぎながら、自分の役割を果たすことでチームを引っ張っていきたい」と静かな闘志を燃やす。東京「夏の陣」第2章が幕を開けようとしている。