
投打二刀流・森井がアスレチックスと契約
“夢を追う姿勢”を学んだ後輩たちの挑戦
桐朋はメジャーリーガーとなった森井翔太郎が3月に卒業し、新たな春を迎えた。「文武一道」の部訓を掲げる選手たちは、変わらぬ姿勢で野球に向き合っていく。
■二刀流・森井がアスレチックスと契約
昨季は、最速153キロ、高校通算45本塁打の投打二刀流・森井翔太郎が脚光を浴びた。昨年4月以降の練習試合には国内外のスカウトたちが押しかけて、森井のポテンシャルに目を光らせた。チームが西東京大会初戦で敗れたあとの9月にプロ志望届けを提出したのち、NPB球団に指名お断りの申し出を行い、メジャー挑戦を表明。メジャー数球団の現地視察を経て、1月15日にアスレチックスと契約を結んだ。高校生ドラフト上位候補がNPB球団を経由せずにメジャー挑戦を選択したことは、大きな話題を呼んだ。森井は「小さい頃からの夢だったメジャーリーグに行くことができた。桐朋で学んだことを活かして一歩一歩進んでいく」と話し、卒業式後に渡米した。
■「森井は特別だったわけではない」
森井は小学校から高校まで桐朋で学んだ。中学時代は練馬北シニアでプレーし、最速140キロをマークするなど頭角を現していった。中学卒業時には、桐朋・田中隆文監督が「高校野球強豪校」への道があることを伝えたが、森井は高校も桐朋でプレーすることを自身で選択して黙々と夢を追った。高校3年間を見守りアスレチックス契約時には現地帯同した田中監督は「森井は、チームの中で特別な存在だったわけではない。他の選手と同じメニューをこなして、桐朋の一員としてプレーした。周囲が大学進学準備に入る中でもメジャー選手になるという夢だけを追ってひたむきに努力してきた。自分自身の道を貫いた結果がメジャーへつながった」と語る。
■森井の背中を見てきた選手たち
森井は昨夏の西東京大会後に引退したが、後輩たちが変わらぬ姿勢で甲子園という夢を追う。部訓は「文武一道」。学問と野球は別の道ではなく一つの道と考えて努力していく覚悟を示す。森井の背中を見てきた選手たちは、夢へ突き進む姿勢から多くを学んだ。八嶋道人主将(3年=内野手)は「桐朋という環境でメジャーを目指す意志の強さを感じました。前例がない挑戦で相対的な評価が難しい中で、森井さんは自分の力を信じて努力していました。進む道は違いますが、目標へ向かう意志を持つことの大切さを学びました」と話す。
森井は桐朋を卒業したが、森井が残した「道」は残った。今年の選手たちも強い意志と覚悟で「文武一道」を体現していく。