明治神宮大会に続く秋春全国制覇
「横浜一丸」で秋春夏の完全制覇へ

 横浜が第97回選抜高校野球大会で、2006年以来19年ぶり4回目の優勝を成し遂げた。昨秋の明治神宮大会制覇に続く、秋春全国制覇。選抜優勝は「横浜一丸」で達成した快挙だった。

■有言実行で明治神宮制覇

横浜は謙虚に「強さ」を見せつけた。悔しさを糧にして、這い上がってきたチームだ。一昨年夏、昨夏は神奈川大会決勝でゲーム終盤に逆転負けを喫して涙をのんだ。攻守の要・阿部葉太主将、エース奥村頼人らは新チーム結成時に「第1章が神奈川制覇、第2章が関東制覇、第3章が明治神宮制覇」を掲げて始動した。村田浩明監督は「一緒に練習していて気持ちの良い選手たち。勝たせてあげたいチームだ」と評して指導に熱を入れた。有言実行。選手たちは明治神宮大会を制して、秋の目標を達成してみせた。

■優勝候補の重圧を跳ね除けて

選抜前には「横浜一強」という言葉が聞こえてきた。優勝候補筆頭の重圧の中で甲子園に乗り込んできたチームに、慢心はまったくなかった。2年生投手・織田翔希が先発して、エース奥村頼につなぐ継投がベース。1回戦・市和歌山、2回戦・沖縄尚学、準々決勝・西日本短大附の3試合ともに楽な展開ではなかったが、攻守の勝負所で力を発揮して、一戦ごとに進化した。優勝への関門となったのは、準決勝の健大高崎戦だった。最速158キロの大会注目投手・石垣元気を擁する相手は、関東大会準優勝チーム。この選抜でも横浜に次ぐ優勝候補に挙げられていた。横浜は相手の先発左腕・下重賢慎から序盤に2点を奪って主導権をつかむと、中盤から登板した石垣を攻略して5対1で勝ち切った。

■「選抜優勝は通過点だ」

決勝戦の相手は智弁和歌山だった。横浜は3回に阿部が勝ち越し二塁打を放つと、6回のピンチではダイビングキャッチで危機を救った。6回裏に一挙6点を奪ってリードした横浜は、先発・織田から片山大輔、エース奥村頼、そして山脇悠陽へとつなぐ投手リレーで、紫紺の優勝旗をつかみ取った。8回途中にエース奥村頼から山脇へ。優勝の瞬間はレフトに回っていた奥村頼をもう一度マウンドに上げる選択肢もあったが、指揮官はそれを選ばなかった。それはエースに与えた試練と、全員で突き進む「横浜一丸」の証だった。新チーム始動から公式戦20連勝での選抜制覇。「選抜優勝は通過点」(村田監督)。チームは、秋春夏の完全制覇を追い求めて進化していく。

おすすめの記事