甲子園春夏通算12回出場の古豪
1940年以来の夏甲子園を視野
昨年夏の静岡大会でベスト8に進出した古豪・島田商。力を蓄えるチームは新たなエッセンスを加えて甲子園を目指す。(取材・栗山司)
■昨夏はベスト8進出
器具を使いながら黙々とトレーニングに励む選手を見ながら、横山崇監督は感心する。「本当に島商の子たちは、体作りへの意識が高い。前任の池田(新之介/現静岡監督)先生が素晴らしい伝統を作ってくれていたんだと思う」 島田商は2013年秋から約8年間に渡って率いた池田監督のもと、2018年夏に県準優勝まで登りつめた。 昨春、池田監督からチームを引き継いだのが横山監督。初任地の佐久間で8年間監督を務め46年ぶりの2勝を挙げ、その後赴任した浜名では9年間で2度県ベスト8に進出。毎年、守備を固め、安定感のあるチームを作り上げた。
島田商監督に就任して最初の夏は、駿河総合、加藤学園、聖隷クリストファーといった難敵を下してベスト8に進出。甲子園を視界にとらえた。「甲子園を狙うのは当然のこと。日々の練習から県制覇、甲子園出場を意識していきたいと考えている」と意気込む。
■秋初戦負けから巻き返しへ
前チームから主力が入れ替わった秋。チームは中部大会の初戦(対静岡市立)で敗退。秋、冬は横山監督とナインが一緒になって一からチームを作っていった。 スローガンには「堅」の一文字を掲げる。守備が持ち味のチームなだけに、「堅い守備で守り抜く」という意味を込めた。塚本陽向主将(2年=外野手)はこう話す。「秋は自信のある守りでリズムを作ることができませんでした。今はピッチャーの土台が出来上がって、いい形になってきています」
今年の投手陣はバラエティーに富んでいる。左オーバーの渡邉光生(2年)、左サイドの田村勇翔(2年)、右オーバーの榑松大斗(2年)、右サイドの坂部旭(2年)がそれぞれ持ち味を発揮する。一方で攻撃陣は、足を絡めて得点を奪っていく。
■選手同士で評価
この冬は考える力を養ってきた。例えば打撃練習では全員が同じカウントを設定するが、その他の状況は自分で決め、それに対応した打撃を磨いていく。 また紅白戦では試合前に3人や4人のグループを作り目標を確認し合う。「今日はバントを必ず決めよう」「絶対に三振はしない」。目的意識を定めた上でゲームに臨む。終了後は、あらためてグループで集まり、事前の目標に対する結果を評価し合う。 その狙いについて、横山監督はこう語る。「工夫や分析、自己評価する力をつけていきたいと思っている。そこに、もともとの彼らの一生懸命さが加われば、いい方向に向かっていくと感じている」 選手たちからの反応も上々だ。塚本主将は「ただ試合をやるよりも、事前に仲間と『こういうことをやろう』と伝えていくことで、それを強く意識できるようになりました」と目を輝かせる。
新たに横山監督のエッセンスを加え、チーム力をアップする島田商。古豪が聖地を見据える。