2013年春の選抜出場から10年目
伝統校の意地を結果で体現する
2013年春の選抜甲子園に出場した実績を持つ宇都宮商。それ以来、栃木県の公立は甲子園にたどり着くことができていない。あれから10年、チームは再び甲子園の扉を開ける。
■2019年夏の栃木大会ベスト4
宇都宮商は2019年夏の栃木大会でベスト4へ進出し甲子園まで“2勝”に迫った。今年の1・2年生は、あの夏の戦いを中学時代に見て、伝統校の門を叩いてきた選手たち。チームはコロナ禍になってからベスト8に到達することができていないが、私学と真っ向勝負するなど堂々たる戦いをみせてきた。2022年春は白鴎大足利に0対1、同年夏は作新学院に1対3、新チームで迎えた同年秋は国学院栃木に12対13で惜敗。強豪私学をあと一歩まで追い詰めるなど甲子園までの距離は確実に近づいている。今年のチームをまとめる沼澤光心朗主将(2年=外野手)は「チームには、接戦で勝ちきる本当の強さが求められている。今年のチームスローガンは『全力』。練習からすべてに全力で取り組むことで、勝利をつかみたい」と夏へ向かう。
■充実の投手陣がブルペンで競争
投手陣は充実している。エースナンバーを背負うのは、キレのあるスライダーが武器の篠原叶丞(2年)。さらに実戦派サウスポー稲田陽太(2年)、身長186センチの大型右腕・川俣歩叶(2年)が成長を遂げる。エース篠原が「秋は悔しい敗戦となったので、春・夏は気持ちを前面に出して投げ抜いていく」と話せば、サウスポー稲田は「自分の特徴を発揮してチームを引っ張っていく」と力を込める。また、1年生大会で最速138キロをマークした山崎翔大(1年)は中学時代にALL栃木に選ばれた逸材で、春夏のブレイク候補だ。山崎は「ストレートで押していけるピッチャーになって先輩たちの力になりたい」と球春を待つ。
■投打のポテンシャルは県屈指
今年の1・2年生は、中学時代に実績を残した選手たちが集結した「期待の世代」。秋時点で高校通算10本塁打のパワースラッガー五月女陽咲(2年=外野手)は「自分たちの代で甲子園に行くために宇商を選んだ」と夏甲子園に照準を定める。選手たちは、これまでの先輩たちの思いも背負って、甲子園までの道を切り拓く。OB指揮官の山口晃弘監督は「過去の夏大会では作新学院や国学院栃木の私学勢にあと一歩届かない試合が続いているが、戦えるベースは出来ている。2013年春の選抜から10年目。それ以降、栃木県では公立校が甲子園に行けていないので、伝統校の意地をみせたい」と静かな闘志を燃やす。春夏4度の甲子園出場を誇る伝統校は今夏、5度目の聖地を虎視眈々と狙っていく。