先輩たちの悔しさ晴らすため
3年ぶりの「王座奪還」へ全身全霊

作新学院が3年ぶりの夏甲子園出場をかけて栃木大会へ挑む。過去2年、悔しさを味わったチームは「王座奪還」を目指し一戦必勝で戦っていく。(取材・永島一顕)

■昨秋は関東優勝、神宮大会準優勝

2021年の第103回大会までV10を果たした作新学院。しかし、2022年は準決勝で国学院栃木、昨年は決勝で文星芸大附にいずれもサヨナラ負け。2年連続で先輩が味わった苦渋のシーンを目の当たりにしてきた現3年生は「先輩たちの悔しさを絶対に晴らす」という思いを胸に、昨夏スタートを切った。昨年の秋県大会では勝負強さを発揮して見事に県の頂に立ち、続く地元開催の秋季関東大会も、勢いそのまま一気に駆け抜け関東王者となった。さらに臨んだ明治神宮大会では全国の猛者を次々と撃破、決勝では星稜(石川)に惜しくも敗れたものの堂々の準優勝。作新学院の名を全国に誇示して見せた。そして1月には「選抜切符」が届いた。

■春県大会は無念のベスト8敗退

ひと冬を越して迎えた今春の選抜甲子園は、関東王者として臨んだ。神宮大会準優勝の結果によって優勝候補の一角に名が挙がり期待を集めたが、神村学園(鹿児島)相手に初戦敗退。小森一誠主将は「全国のレベルを思い知らされ悔しかった」と肩を落とした。「日本一の景色を見る」という目標には及ばない現実を思い知った。春季県大会は多くのメンバーを入れ替えた中でⅤ候補の筆頭に違いなかったが、結果は準々決勝で宇都宮商に競り負けて8強止まり。「自分たちの野球ができないまま終わった」(小森主将)と、秋王者の風格は影を潜めた。小針崇宏監督は「選抜では自分たちに足りないものが何かを感じ、大きな宿題を持って帰ってきた」と話す。選抜、春大会の敗戦を糧にチームは再起動した。

■小森主将、エース小川を軸に夏大会へ

チームは今夏にすべてを懸ける。夏大会が迫ってくる中、小針監督は「全国の舞台へ戻りたいという思いでチームが一つになってきている」と選手たちの野球に対する姿勢を評価する。エースの小川哲平(3年)は「みんなが抱えた悔しい思いを夏に晴らしたい」と力強く言葉にし、選手たちを奮起させた。チームは小森主将、エース小川を軸に投打の歯車が噛み合ってきた。今年のチームは過去2年の先輩たちの悔しさ、今春ベスト8の屈辱を晴らすために、栃木大会に照準を合わせる。目指すのは「V奪還」のみだ。

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