2021年夏ベスト16など実績を残す都立校
甲子園出場は「夢」ではなく「現実目標」

2007年夏ベスト8、2021年夏ベスト16の結果を残した小平南。力強い戦いをみせるチームは、主体性を伸ばす練習で過去最高のベスト8以上を目指していく。

■凛とした姿で勝利を目指す

チーム一丸となった戦いで、価値ある勝利を収めてきた。2021年夏には昭和、豊多摩の実力校に勝利して5回戦へ進出。5回戦では明大八王子にシーソーゲームの末に5対6で惜敗したが、堂々のベスト16となった。今夏は3回戦で世田谷学園と対戦し、戦力では相手有利だったものの、決死の戦いをみせて8回裏に同点に追いつくなど接戦に持ち込んだ。結果的には6対7のスコアで敗れたが、夏の舞台で底力を示してみせた。選手たちの精神力を高めているのは「本気の朝礼」だ。企業や飲食店で採用されている朝礼方法で、選手たちは練習開始前にそれぞれの目標を発表し意志を伝えていく。チームスローガンは「大笑凛(だいしょうり)」。笑顔と凛とした姿を忘れずに勝利を目指していく。

■甲子園を経験した指揮官と共に

都立校が甲子園に行くことは夢ではない。都内では2003年夏に雪谷が東東京のトーナメントを勝ち上がり甲子園出場を決めたが、当時の雪谷・増子良太主将が、現在の小平南を率いている。増子監督は日体大で学生生活を過ごし、大学4年時に母校雪谷で教育実習を行った。授業後には野球部の練習をサポートし、高校野球の魅力をあらためて認識。教員の道へ進んだ。大泉、大島海洋国際で指導したのちの2020年に小平南へ着任。2021年春から指揮を任されている。甲子園の舞台でプレーした経験を持つ増子監督は「甲子園は単なる夢ではなく、現実目標であることを教えたい。自分が雪谷時代に学んだことを伝えていきたい」と選手に寄り添う。

■今秋は粘り強さを発揮し予選突破

夏大会後に始動した新チームは、3年生たちが引退したことでレギュラーの多くが入れ替わった。実戦の経験値も少なかったためチーム基盤を築くのに時間を要すると思われていたが、選手たちは自発的にミーティングを実施。自分たちの現状を把握し互いに補完し合うことで、チームとしての形が見えてきた。秋予選1回戦で田園調布、予選決勝で中大杉並に競り勝って予選突破を決めた。チームの核は、攻守の要・森晴紀主将(2年=内野手)。森主将は「自分が引っ張るというよりも全員がキャプテンのチーム。部員全員の力を合わせて勝ち上がっていきたい」と話す。投手陣は技巧派・伊藤新大(2年)、剛腕・渡邉侑真(2年)が軸。打撃陣は1番・森主将、2番・田中涼太郎(2年=内野手)、3番・榎本慶祐(1年=内野手)、4番・大野稜十(2年=外野手)らが得点に絡んでいく。チームは知的障害児との交流を図る「甲子園夢プロジェクト」にも参加。人としての成長の先にある本当の勝利を目指す。選手たちは甲子園を経験した指揮官と共に、聖地への道を歩んでいく。

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