ピッチャーを中心とした守備の野球を追求
21世紀枠県推薦を励みに心技体の成長を誓う
甲子園全国制覇の経験を持つ福田治男監督が指揮を執る利根商。秋大会ベスト4で21世紀枠群馬県推薦校に選ばれたチームは、悲願の甲子園出場に向けて突き進む。
■見えてきた甲子園へのルート
2019年4月に福田監督が就任した利根商。桐生第一時代の1999年夏に群馬県初の全国制覇を成し遂げた指揮官が指導を始めて以降、3度のベスト8、4度のベスト4進出を果たしている。チームとして結果を残している一方で2022年秋には、投打のポテンシャルを秘めた未完の大器・内田湘大が広島から2位指名を受けて入団するなど選手の能力を開花させる“土壌”も整ってきた。室内練習場が設けられているほか、野球グラウンド改修工事も終わり、環境がさらに充実。甲子園へのルートがはっきりと見えてきている。北毛地区初の甲子園出場を狙うチームは、着々と“土台”を固めている。
■21世紀群馬県推薦校が励み
福田監督が目指すのは、ピッチャーを中心とした守備の野球。守備でしっかりとアウトを重ねて、攻撃ではランナーを確実に送って得点につなげていく。スターを中心としたチームづくりではなく「全員野球」。選手たちに伝えている言葉は「心の野球」。百戦錬磨の指揮官は「人としての成長が選手の成長につながり、チームの結果につながっていく」と高校野球の原点を追求している。結果を積み上げていくチームは、秋大会ベスト4で21世紀枠群馬県推薦校に初めて選ばれた。福田監督は「推薦校にふさわしいチーム、選手になっていかなければいけない。責任を自覚していく必要がある。北毛地区初の甲子園は、地域の願い。その思いに応えていくことが役割です」と聖地を目指す。
■優勝旗を月夜野に持ち帰る
今秋は準々決勝で高崎東に勝利してベスト4へ進出。関東大会出場切符をかけて農大二と対戦したが力及ばずに2対6で敗れた。守備で耐えきれず中盤に失点を重ねてしまったことが響いた。守備の中心は、最速135キロの伸びのあるストレートが武器の森煌陽(2年)と、松本楽己斗(2年=捕手)のバッテリー。打撃の軸は、堅実な打撃をみせる水村孔亮主将(2年=外野手)、パワフルなスイングをみせる不動の4番・中林来叶(2年=内野手)ら。選手たちは、グラウンドに雪が積もる厳しい冬を乗り越えて“春”を待つ。水村主将は「関東大会まであと1勝で負けてしまったので悔しさが残る。この冬、投打のレベルを上げて、夏の甲子園を目指す」と力を込める。福田監督は2019年の利根商指揮官就任当初から「ベスト8にコンスタントに入れるようになればチャンスは必ずやってくる」と話すが、6年前と比較してチームアベレージは確実に上がった。あとは、頂点までの関門を突破する真の強さが求められる。利根商は地域の応援を力に変えて、優勝旗を月夜野に持ち帰る。