【佐野日大 野球部】「脱管理野球」 #佐野日大

スマホ解禁、坊主頭禁止の大改革
「自由」と「責任」で意識改革

春夏通算10度の甲子園出場を誇る佐野日大は、2017年に元プロのOB指揮官・麦倉洋一監督を迎えて4年が過ぎた。名門は進化のターニングポイントを迎えている。

(2021年2月号掲載)

■2018年は甲子園まであと1勝  

佐野日大は2017年に、元阪神タイガースのレジェンドOB麦倉監督が母校に戻った。

監督就任から4年、チームは紆余曲折を経て着実に進化を遂げている。麦倉監督は「思うようにいかないことが多いですね」と振り返りながらもチームの成長に手応えを感じている。この4年間で最も印象に残っている試合は2018年秋の関東大会だという。栃木県大会を制して関東大会へ挑んだチームは1回戦で東農大三を下して準々決勝・桐蔭学園戦へ。その試合で勝てば選抜切符が当確となったが、惜しくも敗戦。甲子園を目前で逃す結果となった。

指揮官は「チャンスを確実につかまなければいけない。それにはグラウンドだけではなく日常生活から責任を持った行動をしなければいけない」と話す。

■令和の時代を戦うために

佐野日大は2020年にチーム改革を行った。部員の約3分の2にあたる約30人が選手寮で生活する環境だが、それまでは厳しい規則で選手たちを管理していたという。

しかしながら時代は変わっている。チームは、選手寮でのスマホ使用を解禁し坊主頭を禁止した。まさに伝統校の大改革だった。麦倉監督は「これまでは規則で管理してきたが、縛りを緩くして選手たちに自由を与えることで責任を持たせている」と説明する。自由を与えられた選手たちは髪の毛を伸ばしながらも自己管理を徹底している。

増山渉太主将(2年=内野手)は「髪の毛を伸ばすことで、試合で負ければ周囲から厳しい目で見られてしまう。僕らは結果で示さなければいけない」と自覚を持つ。佐野日大は令和の時代を戦うための新たな一歩を踏み出したのだ。

■挑戦者として戦っていく  

選抜甲子園を狙った2020年秋季大会は、初戦となった2回戦で真岡北陵、3回戦で宇都宮南を下して準々決勝へ進出。ベスト4をかけて国学院栃木と対戦したが7対14で敗れた。打力はあったが投手陣が耐えきれずに力尽きた。守備土台の構築を目指すチームは、本格派右腕・大門稜平(2年)、最速135キロ左腕・早乙女左恭(2年)を軸に投手陣を整備している。打撃は1番・増山主将、3番・丸山詩温(1年=外野手)、4番・岡佐昌樹(2年=内野手)、5番・残間海地(2年=捕手)が鋭いスイングをみせる。

チームは昨年秋の1年生大会で初優勝。伸び盛りの1年生がレギュラー争いに加わり、春に向けてチーム内の競争は激化。秋のリベンジ、そして麦倉監督体制初の甲子園へ、チームには士気がみなぎる。増山主将は「挑戦者として一戦一戦を勝ち上がることで甲子園を目指す」と日々の練習に取り組む。坊主頭禁止のチームが、栃木の高校野球の歴史を変えていく。 

 

 

 

 

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