2019年ドラフト1位指名の遊撃手
プロ2年目へ挑むDeNAの次世代スター
桐蔭学園時代は走攻守3拍子揃った遊撃手として活躍し、2019年春の選抜出場を果たした。2019年秋のドラフト会議でDeNA横浜ベイスターズから1位指名を受けてプロの世界へ進んだ。
ルーキーイヤーの2020年はシーズン終盤に1軍へ昇格し、初安打を放つなど成長を示した。プロの舞台で進化を遂げる森敬斗選手に、高校時代を振り返ってもらった。
目の前の試合に集中
―高校時代を振り返って?
「甲子園(選抜)に出場できたことが一番大きかったと思います。全国の舞台で戦えたことが自分にとっての財産になった気がします」
―2018年秋季関東大会ではミラクル劇を演じて優勝しました。
「神奈川県大会決勝で横浜高に大敗して準優勝で関東大会へ出場したのですが、県大会から関東大会までの2週間の練習が印象に残っています。自分たちの力を受け止めて、みんなで努力したからこそ、優勝という結果につながったと思います。一戦一戦、目の前の試合を戦っているうちに、『勝てる』という自信が芽生えていきました。貴重な経験をさせてもらいました」
―選抜甲子園の印象は?
「選抜甲子園では、啓新(福井)に3対5で敗れましたが、自分を含めてみんなが緊張していて、チームとして100%の力が出せなかったという苦い経験があります。選抜では、甲子園の素晴らしさと、大舞台で力を発揮することの難しさを感じました」
―高校時代の仲間はどんな存在でしょうか?
「自分たちは全員がすごく仲が良くて、最高の仲間たちでした。いまはコロナ禍でなかなか会うことはできませんが、よく連絡をしています。高校時代の思い出話をすることも多いのですが、やっぱり楽しいですね。まだ卒業して1年ですが、離れてみて仲間の大切さがわかりました」
―高校時代の練習で思い出されるのは?
「ランニングの量がすごく多かったのを覚えています。きつかったのですが、それを乗り越えたことでフィジカル的にもメンタル的にも成長できたと思います。足腰が強くなったほかに、気持ちの部分でチームとしての一体感が生まれました」
セルフケアと準備が大切
―高卒選手としてプロの世界へ。高校野球との違いは?
「プロでは全部のレベルがもちろん上がっています。その中でもピッチャーの球速、打球の速さなどスピード感に慣れることが最初の課題でした。また、多くのデータが集まってくる中で情報をどう生かすかも大切だと感じています。高校野球はトーナメントの1回勝負ですが、プロはリーグ戦で同じ相手と何度も対戦します。その中で、データを分析していく力も必要だと感じました」
―プロで通用した部分は?
「速いボールに対して、強いスイングができたりとか、打撃の面ではできるシーンが増えてきたと思います。また、走力、肩力など自分の持ち味であるところは発揮できたと思います。自分はもともとケガが多くてプロの試合日程に不安もあったのですが、しっかりと準備をすることでケガなく乗り切ることができました。コンディション管理の部分も成長できたと思います」
―野球が職業になることについてはどう感じますか?
「高校のときはアマチュアなので結果がお金につながることはなかったのですが、いまは結果がお金につながっていきます。プロ野球選手を長く続けるためには結果が必要ですし、そのために努力しなければいけないと思います。プロ野球選手は、ファンの方にプレーを見てもらうのが仕事なので、プロ意識をもって練習、試合に向き合っていきたいと考えています。いまは良いモチベーションで練習できていると思います」
―ルーキーイヤーの1年間を振り返ると?
「入団後はコロナとかいろんなことがあったのですが、あっという間でした。プロでは試合は週6試合あって、それが毎週続いていくというサイクルなのですが、慣れるまではキツかったです。経験してみて大事だったのは自己管理やセルフケアでした。自分でしっかりと準備して、次の試合へ挑むことが大切だと思います」
―夏まではファームで経験を積みました。
「ファームの三浦大輔監督(2021年は1軍監督)に多くの試合で使ってもらって実戦経験を積むことができました。結果が出ないときは課題を見つけられましたし、充実した時間だったと思います。プロでは結果に一喜一憂している時間はないので、1プレー1プレーで気持ちを切り替えながらやっていました」
―シーズン終盤には1軍に昇格して初ヒットを放ちました。
「たくさんのお客さんが入ったスタジアムでプレーできたことが嬉しかったです。これからもあの舞台で活躍し続けたいと強く思いました。高校のときは横浜スタジアムで1試合プレーしましたが、高校のときはまったく別の雰囲気でした。初ヒットについては、ヒットという結果よりも、自分の強いスイングができたことが良かったと思います。それが成長かなと思います」
目標に向かって毎日努力
―桐蔭学園の恩師・片桐健一監督に初ヒットの報告は?
「もちろん連絡させていただきました。初ヒットのときだけではなく、1軍昇格など変化があったときにはすべて報告させてもらっています。高校時代にお世話になったので、今後も良い報告ができたらと思います」
―高校球児にメッセージをお願いします。
「まだ高校を卒業して1年なので大きなことは言えませんが、自分の経験から話すと、目標を明確にして練習をしていくことが大切だと思います。高校2年の冬に選抜出場が決まって甲子園で活躍したいという目標設定ができたからこそ、自分自身に負けることなく練習ができて、それが今につながっていると思います。目標に向かって毎日努力することは簡単ではないと思いますが、それがすべてなのかなと思っています。その意味では、選抜に出られたことが野球人生で本当に大きかったと思います」
―将来どんな選手になりたいでしょうか?
「DeNA横浜ベイスターズのレギュラーとして何年も活躍していきたいと思います。打撃ではアベレージで結果を残して、走攻守でスタジアムを盛り上げられる選手になりたいと思います」
森敬斗
2002年1月28日静岡県生まれ。桐蔭学園。走攻守3拍子揃った遊撃手。桐蔭2年生秋に関東大会で優勝。2019年春選抜出場。2019年秋ドラフトでDeNA横浜1位指名。