春夏9度の甲子園出場の伝統県立「宇工」
2002年春以来の甲子園へ全員で努力
春夏9度の甲子園出場の実績を誇る県立伝統校・宇都宮工。時代の変化に対応し進化を遂げるチームは、2002年春以来の甲子園を目指して立ち上がる。
■1959年の夏甲子園で準優勝の歴史
春5回夏4回の甲子園出場を誇る伝統校。1959年の夏甲子園では決勝へ進出し、準優勝となった歴史を持つ。伝統の魂を宿す宇都宮工は1986年夏に甲子園出場。選抜は1989、1996、2002年に出場し「宇工(うこう)」の名を全国に知らしめてきた。近年は甲子園から遠ざかっているが、力強い戦いは健在。2018年夏・秋、2019年秋、2021年春にはベスト4へ進出。作新学院をはじめ私学実力校相手に一歩も引かない戦いを演じて県立の矜持を示している。
■未来へ向けた「フィードフォワード」
長きにわたってチームを率いるのは、1996年選抜ベスト8の実績などを持つOB指揮官の大森一之監督だ。初めての監督就任から約30年が経過し、高校野球を取り巻く環境は変わっているが、百戦錬磨のベテランは時代を“読み”ながら選手たちを育て上げている。大森監督は「『Z世代』と呼ばれる子どもたちにどんな指導をしていくか。コロナ禍を挟んで時代が大きく変わった中で、我々指導者がアップデートして指導方針を変えていかなければいけない」と話す。アドバイスは「フィードバック」ではなく、未来へ向けた「フィードフォワード」。今春の登録メンバーは、選手のスマホ投票を参考にして決まったという。宇都宮工は、デジタルも活用してチームマネジメントに取り組む。
■目標に向かって努力を続ける
選手たちは、2年半の時間を経て大きく成長していくという。2024シーズンのチームは澤野有輝主将(3年=捕手)を中心に、古菅響介(3年=投手・捕手)、巻島琉似(3年=外野手)らが地力をつける。投手では最速135キロのエース小島大河(3年)が自信をつけて、チームの大きな力になる。2年生も力を伸ばし夏へ向けてレギュラー争いは激しくなっていく。昨秋は作新学院に惜敗したチームだが、夏はリベンジを果たすべく牙を研ぐ。チームが掲げる言葉は「万里一空」。目標に向かって努力を続けるという意味だ。澤野主将は「秋に作新に負けた悔しさを忘れずに夏へ向かう。自分たちの力を合わせて甲子園出場を成し遂げたい」とバットを振る。宇都宮工の空は、甲子園へとつながっている。