1990年、2004年夏に準優勝の県立伝統校
「公立校から甲子園」を目指す心意気

 1990年、2004年夏に県準優勝の実績を持つ神奈川工。県立のプライドを秘める伝統校はOB指揮官の下、甲子園を目指して努力している。

■神奈川工の「伝説」を継承する

 神奈川工は1990年、2004年夏に決勝へ進出し、甲子園にあと1勝に迫った。1990年夏は決勝で横浜商と対戦し6回まで0対0のロースコア。どちらに転んでもおかしくないゲームだったが1対3で惜敗した。2004年夏はノーシードから武相、横浜創学館、横浜隼人に勝利し、決勝では横浜に屈したが県立の執念を示した。この2試合は、神奈川工の伝説だ。2004年のチームを指揮した西野幸雄元監督は、2024年度に育成功労賞を受賞した。2005年以降はベスト8に到達できていないが、甲子園を目指す覚悟は同じ。グラウンドには「私たちは歴史を変える〜公立校から甲子園〜」の文字が書かれた横断幕が掲げられている。

■甲子園を目指す過程を大切に

公立で甲子園を目指す覚悟は、確かに引き継がれている。チームは2023年夏までOBの信太俊郎監督が率いていたが、同年秋から同じくOBの三木健太郎監督がタスキを受けた。三木監督は、現役時代にショートの名手として活躍し、西野野球を学んだ。恩師である西野元監督時代を知る指揮官は「西野先生や信太先生のあとを任されたことに責任を感じる。神奈川工の原点は人間教育。西野先生は一人ひとりとの会話を大切にしながら多くの学びを教えてくれた。甲子園を目指す過程を大切にして、野球が大好きな選手を育てていきたい」と後輩指導にあたる。神奈川工は高校としては珍しい10階建て校舎。選手たちは校舎の階段を日々掃除し、心も磨いていく。

■個性あふれる選手がチームを活性

2025年の夏躍進を狙うチームは、新チーム始動時にミーティングを実施。「夏ベスト16以上」を目標に設定した。5回戦に到達するにはどうするべきかを考えて練習に励む。チームは城本幸之介主将(2年=外野手)を軸に、公立屈指の好打者・本田幸輝(2年=外野手)、攻守の要・大石弍夏(2年=内野手)、高尾航生(2年=捕手)高尾海人(2年=投手)の双子バッテリーなど個性あふれる選手が揃う。1年生投手も台頭してチーム力はアップ。冬はフィジカル強化を徹底して春に備えていく。城本主将は「自主性を大切にして練習していく。ベスト16以上、そして甲子園の目標を達成するために全員で声を出してチームを盛り上げていく」と練習に向かう。2004年の準優勝時から時代は大きく変わったが、目的地は同じ。人としてのあるべき姿を学びながら、聖地を目指していく。

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