
2022年に30年ぶりの甲子園出場
3年ぶりの聖地へ情熱&野心みなぎる
3年前、30年ぶりに甲子園の夏を経験した樹徳。聖地への思いは変わることなく、選手一人一人がその情熱を胸に練習を重ねる。
■甲子園は夢ではなく現実目標
群馬の勢力図を変えたチームだ。群馬高校野球は2021年まで前橋育英が5大会連続で夏甲子園出場を果たしていたが、2022年夏に樹徳が準々決勝で前橋育英を撃破し連覇を止めると、準決勝で桐生第一に勝利してファイナルへ。勢いに乗った樹徳は、甲子園切符をかけた決勝・健大高崎戦でも恐れ知らずのアグレッシブな戦いを実践。積極的な打撃策で6対4で打ち勝ち、豊富な戦力を誇る“巨大戦艦”を沈めてみせた。樹徳にとっては30年ぶりの甲子園出場となった。今季の3年生は、中学3年生のときに樹徳の進撃をみて入学してきた選手たち。甲子園は夢物語ではなく、現実目標。甲子園への意識が明確になっているという。
■日々の練習が甲子園につながる
OB指揮官・井達誠監督は樹徳現役時代に、世代屈指のショートストッパーとして2年連続の甲子園出場を成し遂げている。指導者として母校を甲子園へ導くことを使命として“後輩”たちの指導にあたってきた。2010年代には桐生第一、前橋育英、健大高崎らライバルたちの背中を追いながらも虎視眈々とチーム力を高めて、2022年に自身の現役時代以来30年ぶりに母校を聖地へ導いた。井達監督は「甲子園という目標が選手を成長させてくれる。今は多くのトレーニング情報があふれているが、魔法の練習はない。自分たちの意識で、普段の取り組みを甲子園に行くための練習に変えていくことがすべて。今季の選手たちは、それができると信じている」と期待を寄せる。
■甲子園出場へ士気高まる選手たち
樹徳の選手たちは、技術に加えて野心も備えている。強肩強打の外野手・金子想隼主将(3年)を軸に攻守の歯車は噛み合ってきた。チームの土台となるのは、最速138キロの骨太エース小暮大蔵(3年)、県屈指の守備力を誇る遊撃手・井達格朗(3年)、走攻守3拍子揃ったセンター栗原朔(3年=外野手・投手)のセンターライン。栗原は投手としてもマウンドに立つ。強打の藤生新汰(3年=内野手)もスケールの大きな選手だ。樹徳は昨春、室内練習場をリニューアル。今春から練習試合のユニホームを赤に変えて情熱を注入した(公式戦は紫文字)。春以降の練習試合の結果は上々。揺るぎないパワーを充電するチームは、春大会を経て勝負の夏へ向かっていく。
金子主将は「投打の力は整っているので自分たちの代でもう一度甲子園へ行く」と自信をみせる。再び甲子園へ。士気高まる選手たちは、あの夏の再現を狙う。