今夏の東東京大会で初ベスト8
さらなる成長を誓う新チーム
淑徳は今夏の東東京大会で初のベスト8へ進出した。レギュラー5人が残った新チームは、高い志で新たなスタートを切っている。
■接戦を制して8強へ進出
2021年夏の快進撃がいまも脳裏に焼き付いている。淑徳は今夏の東東京大会で接戦を次々と制してベスト8まで駆け上がったのだ。簡単な試合は1ゲームもなかった。4回戦では、東京実相手に9回に同点に追いつくと延長サヨナラ勝利。5回戦では小岩にリードを許したが、終盤に逆転し6対5で勝どきを上げた。チーム一丸となった戦いは、今大会のベストチームの一つと言えた。駒沢球場での準々決勝・二松学舎大附戦では、学校の協力によって約300人の生徒たちが一塁側スタンドを埋めた。生徒・保護者の応援を受けて、選手たちはベストを尽くした。二松学舎大附戦は、1対10の7回コールド敗戦となったが、選手たちには大きな拍手が送られた。勝つことはできなかったが、勝利よりも大切なモノを得た。
■夏レギュラー5人が残るチーム
淑徳の進撃は2021-2022シーズンへと続いていく。例年は1学年10人弱だが、今年の2年生は17人。今夏のレギュラーだった伊神遥貴(2年=投手)、宮岡陽希(2年=捕手)のバッテリーを軸に、山田桂大(2年=三塁手)、森悠稀(2年=遊撃手)、金谷柊飛主将(2年=外野手)のセンターラインがそのまま残っている。エース伊神は、中学時代は外野手で、高校1年夏に投手に転向。その冬にサイドスローに変えて、自身の投球フォームを磨いた。夏ベスト8の結果を導いた左腕は、自分たちの代で結果を残すべく新たな気持ちでマウンドへ立った。しかし、新チームでは調子が上がらずに壁にぶつかっているという。伊神は「自分のピッチングができずにチームに迷惑をかけてしまっている。自分だけで投げようとせずに、打たせて取るピッチングでチームにリズムを作っていきたい」と再起を誓う。金谷主将は「夏ベスト8は3年生の力。僕たちは何も成し遂げていない。もう一度、一つになって戦っていく」と気持ちを込める。
■淑徳のプライドを宿した選手
チームを率いるのは、2008年秋から指揮を執る中倉祐一監督。指揮官は、選手たちに野球の面白さを伝えながら、本気を追求している。選手の能力を最大限に引き出す指導を軸に、夏大会では周到なプランニングと大胆な選手起用で逆転劇を演出した。選手たちが試合中に見せる本気の笑顔が、チームの強さにつながっている。中倉監督は「選手一人ひとりの力は小さいかもしれないが、足し算と掛け算を駆使すれば勝負できると思っていた。新チームは夏を経験した選手が多く残っているので、夏の財産を糧に神宮を目指したいと思う」と選手に寄り添う。
夏の進撃は、最終章ではなく始まり。淑徳のプライドを宿した選手たちは、新たな物語をグラウンドに紡いでいく。