2019年夏ベスト4、2017年夏ベスト8
コロナ禍に負けず「革命」を狙う
2019年夏にベスト4 へ進出した東東京の新鋭・上野学園。それ以降はコロナ禍などの影響を受けて結果を残すことができていないが、革命の炎は消えていない。選手たちは心技体を鍛えながら甲子園へのルートを探っている。
■虎視眈々と狙う初甲子園
東東京の新鋭・上野学園の勝利の合言葉は「レボリューション」。勢いあるチームは、センセーショナルなスローガンを掲げて東東京に旋風を起こしてきた。2017年夏には初めて神宮球場で準々決勝へ進出。2019年夏には最速150キロエース赤坂諒を擁して準々決勝を突破しベスト4までたどり着いている。学校所在地は、JR上野駅のそば。練習場は、茨城県牛久市の専用球場。選手たちは授業を終えるとマイクロバスで約1時間かけてグラウンドへ移動し、みっちりと練習に励む。2020年冬からのコロナ禍によって練習時間などが限られ、この2年間は上位に顔を出すことができていないが、野心は変わらない。ベンチ中央で選手を鼓舞する闘将・小川貴智監督率いるチームは、虎視眈々と初の甲子園を睨む。
■選手が成長できる環境
新チームのエースは、130キロ台中盤のストレートと落差あるスライダーを投げ込む本格派右腕・南波風輝(2年)。1年生秋の一次予選で、都立強豪の片倉を抑えて予選突破の原動力となった。昨秋以降はコンディションが整わずに登板を回避、今夏もマウンドに上がらなかったため約1年ぶりの復帰となっている。冬のトレーニングで下半身を強化し球速はアップ。2度目の冬を越えればさらなる成長が期待できる投手で、ポテンシャルは2019年夏ベスト4のエース赤坂諒(桜美林大)に引けを取らない。未知なる可能性を秘める南波は「上野学園には選手が成長できる環境がある。夏には140キロ以上のボールを投げて、チームを勝たせるピッチャーになりたい」と練習に励む。
チームは、東東京屈指のショートストッパー土肥虎ノ介(2年)、大久保響主将(2年=捕手)、川嶋康陽(2年=中堅手)ら個性あふれる選手たちが打線を彩り、どこからでも得点を狙っていく。
■人間的成長の先に技術進歩
新チームの選手は2年生13人、1年生13人の計26人(マネージャーは各学年1人)。上野学園は、学校周辺の選手たちが2年半のトレーニングを積むことによって力を高めてきた。しかし、昨今のコロナ禍で練習時間が限られるなど逆風を味わってきた。選手育成への信念を貫く小川貴智監督は「逆境を乗り越えることに価値がある。逆境でも最善を尽くすことで、選手は人としても成長していく。人間的な成長の先に技術の進歩がある」と、指導に情熱を注ぐ。キーマンの土肥が「守りからリズムを作って、強豪校から嫌がられるチームになっていきたい」と話せば、大久保主将は「チーム一丸となった粘り強い戦いで、格上を倒していきたい」と下克上を誓う。
2019年夏のベスト4進出から2年が経過したが、野心は衰えない。もう一度神宮へ。コロナ禍でも進化を遂げるチームは、大舞台で「レボリューション」を起こす。