【川崎総合科学 野球部】「川崎一、神奈川一、日本一」 #川崎総合科学

今秋ベスト16進出のダークホース
部員減少の連合チームから「奇跡の再生」

川崎市立の地域密着公立高校・川崎総合科学が今秋にベスト16進出を果たした。3年前には連合チーム参加となったが、地域・学校・選手の連携によって再生を遂げた。川崎総合科学の躍進は地域の活力となる。

■前チームのエース加藤隆斗が独立・高知入団

2021年の神奈川秋季県大会。トーナメント結果のベスト16を見ていくと、私学強豪に混ざって川崎市立の地域密着公立高校「川崎総合科学」の校名がある。通称「川総(かわそう)」。2017〜2018年は部員減少となり、秋・春は連合チームでの大会参加。2018年秋には、部員がわずか1人となり、野球部存続の危機に陥った。しかし、当時の唯一の部員であった五十幡一平(主将兼エース)が情熱を持って努力すると、地域の協力もあり2019年春に11人の新入部員が加入、チームは持ち直した。そして2020年夏のベスト32進出を果たした。そのチームの一人で、前チームのエース兼4番の加藤隆斗(3年=投手)は最速142キロのストレートとそのポテンシャルが評価されて、今年11月に来春の独立リーグ高知入団が発表された。

■文武心の成長を追求する

チーム強化に情熱を注ぐのは、遠藤順久監督。高校時代は鶴見工の捕手として活躍し、一度は就職したが、高校野球指導の夢を追って大学へ。教員免許を取得したあとは臨時採用を経て、2005年に川崎総合科学に着任、翌2006年から野球部を率いている。川崎市立の建設工学科教員のため基本的には異動がなく、長きにわたり野球部指導を続けられる利点がある。しかし、結果が出ないことで部員減少となる負の連鎖に陥り、2017〜2018年に部員難を経験。地域の野球部の灯りを消さないために、中学校などを回って協力を求めていった。同時にチーム理念を「心を高め自己を錬磨し文武心の成長を追求する。野球界の進歩発展に貢献し関わる人すべてを幸せにする」と定めた。野球部の進むべき道が決まったことで、指導も整理され、それが結果につながっていった。

■春・夏へレベルアップ

今季のチームは、前チームからクリーンアップに座る後藤亮太主将(2年=捕手)、鳥屋颯人副将(2年=外野手)が軸。独立リーグ高知入団の加藤ら力のあった3年生が引退したことでチーム力が維持できるか懸念があったが、1・2年生たちがさらなる結果を残した。この秋は地区予選突破を成し遂げると本大会へ。初戦となった2回戦では、予選で敗れていた相手・神奈川工を5対1で下してみせた。3回戦では鶴見に勝利しベスト16を達成。4回戦では藤沢翔陵に1対8で屈したが、堂々の結果を残してみせた。

後藤主将は「チームの良いムードが大会の結果につながった。4回戦・藤沢翔陵では力の差を感じたので、春・夏へレベルアップしていきたい」と話した。チームの目標は「川崎一、神奈川一、日本一」。前チームの岩井悠哉主将(3年)は「先輩たちが少ない人数でも頑張ってくれたから今がある。後輩たちには、目標へ向かってチームのタスキをつないでいってほしい」と夢を託す。野球を愛し、野球を楽しむチームは、地域の応援を力に成長していく。

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