東東京のネクストブレイク筆頭
初の甲子園出場へ本気になる選手たち
東京成徳大高が着々とチーム強化を図っている。森田正裕監督就任10年目、初の大会参加から20年目を迎えるチームは土台が出来上がりつつある。限界突破の瞬間は目の前だ。
■甲子園レベル相手に善戦
東東京のネクストブレイク筆頭チームだ。2015年夏に創部初の東東京ベスト16へ進出し、それが最高成績となっているが、チームはあのとき以上の力をつけている。特筆すべきは、最近3大会の試合内容だ。今春は1回戦、今夏は3回戦、今秋は1回戦敗退で、結果だけをみるとチームの進化が把握できないが、今春は東海大菅生に0対2、今夏は二松学舎大附に0対3、そして今秋は関東一に0対2のスコア。今春は、3年生エース左腕・岩井拓巳が東海大菅生に2ランを浴びたが、その2点だけに抑えて、選抜ベスト8の相手を追い詰めた。今夏は、岩井が二松学舎大附のエース秋山正雲(今秋のロッテドラフト4位指名)と投げ合い0対3。そして今秋は、関東一に対して新エース須藤竜童(2年)が堂々たるピッチングをみせて2失点に抑えたが、得点を奪うことができずに0対2で屈した。
■『球際』『瀬戸際』で勝負
過去3大会は、甲子園常連校に対して惜敗したものの、いずれも接戦。得点こそ奪えなかったが、相手を本気にさせている。試合内容のみならず、カバーリング徹底、イニング間の機敏な行動などチームの取り組みも感心すべき点が多い。チームを率いるのは、就任10年目の森田正裕監督だ。学校初の大会参加は2002年で10年目の2012年からチームを任されると、段階的にチームベースを築き上げてきた。
現在は、松沼克門部長との二人三脚の指導で、選手たちの情熱に負けない指導を実践する。森田監督は「この10年間、生徒たちから多くを学ばせてもらった。それが今につながっている。最近3大会は甲子園出場校に負けているが、甲子園レベルのチームは『球際』『瀬戸際』が強い。うちも『際』の強さを身につけなければいけない」と、選手たちに寄り添う。
■投打のポテンシャルに期待
選手たちは本気で甲子園を目指している。それが練習場や試合から感じ取れる。一般的に強豪に善戦したことで満足してしまうケースもあるが、選手たちは自分たちに矢印を向けて、さらなる成長を目指す。投打の要となる絶対的存在・エース須藤は「今秋に関東一に負けて、自分たちに足りない部分がわかった。善戦ではなく勝つために自分たちで行動していかければいけない」と力を込める。
新チームのスローガンは「自続(じぞく)」。芦川楓真主将(2年=捕手)は「トーナメントで勝ち上がるには、自分たちで考えて動くことを継続していかなければいけない」とチームをまとめる。今年のチームは、エース須藤、芦川主将を軸に、藤原淳之介(2年=外野手)、高野祐介(2年=内野手)、西絆斗(1年=内野手)らがキーマンとなっている。惜しい試合はもういらない。チームは勝ち上がることで、新たな歴史を切り拓いていく。