昨秋の県大会制覇、関東ベスト8
不要なモノは捨てて夏の甲子園だけに照準
昨秋の県大会を制し関東ベスト8へ進出した国学院栃木。コロナ禍でも進化を遂げるチームは、「断捨離」で夏甲子園を目指す。
■選抜甲子園まで「あと1勝」
夏甲子園は射程圏内だ。
昨秋の県大会を制覇した国学院栃木は、関東大会へ進出した。1回戦では東京学館(千葉)と対戦し、エース格・加藤染(3年)の好投、キーマン最上太陽(3年=内野手)の好打などによって6対5で勝利。選抜出場を懸けて準々決勝・健大高崎戦へ臨んだ。序盤から中盤まではがっぷり四つの展開となったが、中盤以降にじわじわと押されて最後は1対8で敗れる結果となった。選抜甲子園当確まであと1勝だったが、悔しい敗戦だった。申告敬遠を駆使して相手を苦しめた柄目直人監督は「中盤まではしっかりと戦うことができたが、うちが崩れてしまったイメージ。まだ本当の実力がなかったと考えています」と、関東大会を振り返る。大一番を経験したチーム、選手たちは、関東大会の敗戦を糧にさらなる成長を誓った。
■ポイントを絞ってチーム強化
栃木県は今年1月、コロナ感染拡大に伴い緊急事態宣言の対象県となった。公立高校同様に、国学院栃木も学校方針によって練習時間・日程に制限が加わることになった。例年、チームは冬のトレーニングでチーム力を上げていったが、十分な時間を取ることができなくなった。指揮官が選択したのは「断捨離」だった。例年通り、すべての力を上げていくのではなく、ポイントを絞って強化する。間に合わないと判断した部分は、思い切って“捨てた”。国学院栃木が重点ポイントにしたのは、投打の「パワーアップ」。パーツではなくエンジン自体を強化して、春への準備を進めた。「断捨離」は練習だけに留まらなかった。監督室なども整理整頓し、不要なモノは処分した。それは過去との決別だったのかもしれない。チームは、装い新たに今年度を迎えた。
■投打の戦力充実、戦力は過去最高
戦力は充実している。チームは浅田光太朗主将(3年=内野手)を軸に一つにまとまっている。攻守のキーマン最上、関凛斗(3年=内野手)の二人がスケールアップ。内外野のポジションは熾烈な競争が展開され、チームに刺激が生まれている。「秋のレギュラーはリセット。春、夏は、メンバーが替わってくるだろう」(柄目監督)。ブルペンでは、加藤らが威力あるボールを投げ込み、「パワーアップ」の成果は上々。チームは、春季関東大会出場、そして夏の甲子園を見据えている。浅田主将は「秋の関東大会で負けて、自分たちに何が足りないのかを考えてきた。冬のトレーニングでパワーがついてきたので、あとはそれをいかに発揮するか。自分たちがやってきたことと自分たちの力を信じて戦っていきます」と臨戦態勢に入る。
最終目的地は、夏の甲子園。断捨離で心身を整理したチームは、甲子園だけを目指す。