絶対王者10連覇
接戦制して栃木の頂点
作新学院が、春優勝の第1シード佐野日大との決勝戦を制して、2年越しでの10大会連続優勝、16回目の甲子園出場を決めた。佐野日大は、最後まで食い下がったが一歩及ばなかった。(取材・永島一顕)
■序盤の代打策が見事的中
初回に1点先行された作新学院は3回、8番・渡邊翔偉が中前打で出塁すると先発・井上力斗に代えて代打・戎響葵を打席に送った。どよめきの采配。その小針崇宏監督の決断が的中。戎は、内角の変化球を強振、見事に右翼席へ叩き込む2点本塁打を放ち、作新学院が逆転に成功する。2対2で迎えた7回には、鈴木陽登の死球を足掛かりに7番・相場秀三の右前打、代打の小口莉央の四球で2死満塁と攻め、佐野日大の暴投を誘い、鈴木がホームを駆け抜け再びリード。終盤での貴重な1点が、V10を導く決勝点となった。
■3投手の継投で逃げ切りに成功
投手陣の頑張りも見逃せない。決勝の先発は、今大会初登板となる背番号1の左腕・井上力斗。6月に右足首を負傷し、万全の状態ではなかったがエースとしてマウンドに立つ。立ち上がりを攻められ1失点したが、2回まで投げてゲームを作った。2番の林拓希は安定した投球で4イニングを1失点。勝ち越し後の7回から登板した佐藤優成は、バックの好守もあり佐野日大に得点を許さなかった。 田代健介主将は「(甲子園がなかった)昨年の先輩たちの思いも背負いつつ、今大会では一球ずつ全力で立ち向かい、目の前の勝負にかけようと試合に臨んだ。その結果が優勝につながった」と激戦を振り返った。「チームとして一戦一戦で成長しながら戦ってくれた」(小針監督)。作新学院は、攻守に隙のない戦いで10大会連続制覇の栄光をつかんだ。
■佐野日大、無念の準優勝
麦倉洋一監督就任後、初の夏決勝に進出した佐野日大は、「1点」に泣いた。増山渉太主将が初回に送りバントを決めて先制点を引き寄せ、5回には同点打を放ってチームをけん引した。9回にも好機があったが、挟殺と併殺によってチャンスを逸した。鈴木空、佐久間結人、齋藤怜とつないだ投手陣は、作新学院打線を中盤まで2点本塁打の失点のみに抑えていたが、7回に与えた3点目が決勝点となってしまった。作新学院と真っ向勝負もわずかに力及ばず、優勝旗を手にすることはできなかった。