【静岡商 野球部】「自覚と誇り」 #静岡商

秋季の敗戦で明らかになった課題
ワンランク上を目指しオフに臨む

春夏通算15回の甲子園出場を誇る伝統校・静岡商。復活を期すチームは自覚と誇りを胸に、「静商スタイル」を貫いていく。(取材・栗山司)

■課題が明確となった秋大会

「君たちには今、これが足りないということをはっきりと教えてもらう大会になった」。今年4月から指揮をとる曲田雄三監督は秋の大会をこう振り返る。県大会初戦で浜松開誠館を破ったものの、続く3回戦で浜松西に敗れた。スコアは1対2。ポイントとなったのは、逆転を許した直後の6回の攻撃だった。先頭の4番・山田蒼汰(2年=外野手)が二塁打で出塁。しかし、ここから三者連続三振を喫した。曲田監督の口調は熱を帯びる。「この学校がさらにワンランク上にいくためには、ここで打って得点を挙げなければいけない。今回はその課題が明確となった。ここから新しい静商を作っていきたい」。

■自覚と誇りを持つ

高校時代は3年間、静岡商で汗と涙を流した曲田監督。3年夏は主将を務めて県ベスト4入り。大学卒業後は母校の副部長として、2006年の甲子園出場をサポートした。今年4年、再び静岡商のユニホームに袖を通し、選手たちにこう熱く語りかけている。「静商の自覚と誇りを持とう」。  ユニホームを泥だらけにして、ひたむきに1球のボールを追いかける。守備、バント、走塁といった伝統の「静商スタイル」を磨き、簡単には崩れることのない野球を取り戻している。  成果が発揮されたのは秋の中部大会初戦。いきなり秋の県大会2連覇中の藤枝明誠と激突した。負ければ、その時点で年内の公式戦が終わる試合。持ち味の粘り強さを発揮した。

試合は3対3で延長戦に突入。12回表に2点を失ったものの、その裏一挙に3点を奪って劇的なサヨナラ勝ちを飾った。猪飼一斗主将(2年=外野手)は「新チーム結成時は自分のことで精一杯という選手も多かったのですが、試合を積むにつれて、選手一人ひとりがチーム全体のことを考えることができるようになっていきました」と成長を口にする。

■得点力アップへ

秋の大会後は課題となった得点力アップのため、まずは全員がスイング量を増やしている。多いときには、1日で3000スイングをこなした。「最後、大事な場面で一本が打てるか。そこにこだわって振っています」と猪飼主将。主砲の山田も「公式戦のプレッシャーのかかる場面で一本を出せるように練習しています」と話す。  11月27日に開催された「第4回大学野球オータムフレッシュリーグin静岡」。静岡商は立教大と対戦し、6対0で勝利した。大学生相手に11安打の猛攻。打撃力強化が実りつつある。猪飼主将が意気込む。「オフ期間もバットを振り続け、春は絶対に東海大会に行って、その力で夏は甲子園に行きます」。

熱き指揮官・曲田監督のもと、新たな「静商野球」で頂点を狙う。

 

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