1998年創部の新興勢力
夏甲子園の扉を開け!
浜松開誠館が春季東海大会静岡県予選決勝で静岡に勝利し、春夏秋を通じて初優勝を果たした。士気高まるチームは今夏、悲願の夏甲子園出場を狙う。(取材・栗山司)
■難敵を次々と撃破する快進撃
1998年創部の新興勢力が、春夏秋を通じて初の県王者となった。
就任6年目の佐野心監督は「夏に向かって自信満々で迎えられる状態を作っていくために素晴らしい大会になった」と総括する。県大会の初戦(対富士)でコールド勝ちを飾ると、3回戦では左腕の山口祥吾が島田商を完封。創部初のシード権を獲得した。 続く準々決勝では日大三島と対戦。序盤に3点を先制されるも、廣崎漣の投打による活躍で逆転勝ちを飾った。準決勝では静清に対し、1対1の同点から8回、代打・佐野夏之介が2点タイムリー三塁打で勝ち越し。投げては山口が相手打線をわずか3安打に抑える快投で、初の東海大会出場を決めた。
そして決勝戦では静岡と対戦。初回に相手の乱調に乗じて一挙4点を先制すると、2回にも1点を追加。さらに7回には4番・斎藤健介がレフトスタンドに本塁打を放った。
■悲願の甲子園出場に向かって
投打が噛み合った春の大会。2017年から5年間に渡って中村紀洋氏(現中日打撃コーチ)が打撃面を指導。佐野監督は「やってきたバッティングの成果が出た」と、今大会の5試合で30得点を挙げた。一方、投手陣は5試合で8失点。安定感を発揮した中で、大車輪の活躍を見せたのが山口だった。昨秋までは制球に苦しんでいたが、冬の間にフォームを固めて急成長を遂げた。「コントロールが良くなったのでインコースを攻めていけるようになりました」と持ち味の内角クロスファイヤーが冴え渡った。」と持ち味の内角クロスファイヤーが冴え渡った。
ただ、ここがゴールではない。目指すのは悲願の甲子園出場だ。優勝してもチームに浮かれた様子は全くなく、主将の静内龍之介はこう引き締める。「この春の大会で勝ち抜けたことは自信につながると思いますが、まだ小さなミスがあります。そのミスを完璧になくして夏に挑みます」。佐野監督も満足していない。「常々、バッティングのチームを作ってきているので、『打てなくて負けるなら高校3年間納得できるだろう』と3年生にずっと言い続けています。ですが、守備やフォアボールで負けるのは嫌。そこの課題はまだあります」。
歴史の扉を開いた浜松開誠館が次のステージに駆け上がる。