二松学舎大附、関東一戦で学んだこと
守備中心の全員野球で一戦必勝
高島は冬に強くなる。冬休みの強化練習を終えたチームは、ひと回り成長した。士気高まる選手たちは、覚悟を決めて球春を待つ。
■引き継がれる伝統
グラウンドには活力がみなぎっている。選手たちは泥だらけのユニフォームで白球を追う。過酷なノックでヘトヘトになりながらも彼らの表情は明るい。
都立実力校・高島は2012年秋に都大会ベスト8入りし21世紀枠の東京都推薦校に選出。2018年夏はベスト16、2019年夏にはベスト8、2021年夏は4回戦で二松学舎大附に敗れた。東東京で確固たる実績を残すチームは2020年秋に、島修司前監督(2021年春から田無監督)から菊池明彦監督にタスキが渡された。菊池監督は「島先生が築いてきたものの重みを感じている。伝統を継承しながら新しいカラーを出していきたい」と語る。前体制からのスローガン「気は技を制す」は、いまもチームの拠り所。選手は心を鍛えながら技術の習得を目指す。
■フラットな上下関係
今季のチームは2年生18人、1年生14人。上下関係はなくフラットな関係、選手たちは学年の枠を超えてコミュニケーションを図り、チーム強化につなげている。いまの2年生はコロナ禍の入学で練習開始が大幅に遅れたが、選手たちはオンラインで自己紹介を実施、切磋琢磨してきた。練習時間は制限されたが結束は強い。高島は一体感を武器にトーナメントへ挑む。菊池監督の最初の夏となった2021年は、2回戦で開成、3回戦で順天に勝利し4回戦・二松学舎大附へ。優勝校相手に選手たちは決死の戦いをみせたが0対7で屈した。そして新チームで迎えた昨秋は一次予選決勝で関東一と対戦し力の差をみせつけられた。2試合とも完敗だったが二松学舎大附、関東一の東東京2強との対戦は、高島に新たな刺激を加えた。齋藤令慈主将(2年=外野手)は「甲子園レベルを経験できたことは収穫。この2試合をどう生かすかが大切だ」と前を向く。
■チームの勝利のために
チームの中心は、齋藤主将、 有木崇太(2年=内野手)、町山翔人(2年=外野手)の前チームレギュラー3人。打線は、有木、町山のほかミート力抜群の長谷川勇斗(2年=内野手)、俊足・稲葉流太(2年=外野手)らが個性を光らせる。投手陣は、小菅崚渡(2年)、小川颯大(2年)、坂本陸(2年)が春の背番号1を狙っている。
齋藤主将は「小柄な選手が多いが、攻守ともに堅実なプレーが武器。守り勝つ野球で勝ち上がっていきたい」と春の予選を待つ。高島の登録メンバー選考は、選手投票をベースにコーチングスタッフが最終決定する。菊池監督は「選手投票で選ばれていても『チームが勝つために自分は外れたほうがいい』と言ってくれる生徒もいる。それが高島の伝統。登録メンバーは責任を持った行動をしなければいけない」と表情を引き締める。すべてはチームの勝利のため。高島の選手たちは、全員野球をグラウンドで実践していく。