東海大会準優勝も選出ならず
無念を噛み締め夏に向かう
昨秋、東海準優勝という結果を残した聖隷クリストファーが、「補欠校1位」で選抜大会を迎えることとなった。まさかの結果に現場は騒然となった。(取材・栗山司)
■まさかの落選
校長を兼務する上村敏正監督のもとに吉報は届かなかった。 午後3時30分過ぎ、高野連の役員から「補欠校1位」という連絡を受けると、驚きの表情を見せたあと、グラウンドに向かった。上村監督が選手を集め、こう結果を伝えた。「大会本部から連絡が来ることを待ったが、残念ながら報告は来なかった。出場校に選ばれませんでした」 ナインは茫然としたまま、上村監督の言葉に聞き入った。「この悔しさを忘れないで、これを色々なところに活かして、もう1回、夏頑張ろう」
■満身創痍の中で東海準優勝
昨秋は静岡県2位で東海大会に出場。初戦は津田学園(三重)をコールドで下すと、2回戦では岐阜県1位の中京を撃破した。 準決勝では至学館(愛知)と対戦。3点ビハインドで迎えた9回裏に一挙4点を挙げてサヨナラ勝ちを飾った。 エース右腕の弓達寛之(2年)がヒジを故障し、2回戦から離脱。さらに、正捕手の河合陸(2年)も東海大会前に左手を負傷して欠場。そんな中で代役の選手たちが各々の役割を果たし、3試合ともに逆転での勝利。点差が離れても粘り強く戦う姿勢は、まさに「ザ・高校野球」そのものだった。 東海地区の選抜出場枠は2つ。決勝戦で日大三島に敗れたものの、大差(3対6)ではなく、選抜出場を信じて、この冬は厳しい練習に耐えてきた。それだけに、上村監督は言葉を絞り出し、選手を気遣った。「予選を持たない大会であるということは分かっていますが、満身創痍の中でも彼らが東海大会で準優勝したことは評価されてもいいのではないかと思っていました。私は大人ですから受け入れますけど、生徒たちは子ども。これを受け入れられるかどうか、そこが心配です」
■夏は1番を獲る
選手たちは上村監督からの報告後、すぐにグラウンドに散り、再び黙々と練習に打ち込んだ。主将の弓達は「今できることをやっていくしか方法はありません」と気丈に振る舞った。「すごく残念な気持ちですが、今年の夏、1番を獲れるように練習をやっていくだけです」 聖隷クリストファーのモットーは「頭とハートを使う野球」。そこに「夏勝つために力的なものを加えていく」と弓達。もっと逞しくなって、今度こそ。待っていろ、甲子園!
「信じられないがやるしかない」
弓達寛之主将(2年=投手)
「東海大会までは力がないことは分かっていて、だからこそ、小さい事から気を遣って取り組んできました。選抜ではケガ人が復活して、全員で聖隷の強さを見せてやろうって思っていました。このような残念な結果になってしまい、悔しいです。なかなか信じきれないところがありますが、結果は変わらないので、やるしかないなって思っています」
聖隷クリストファー・上村敏正監督
選手たちの頑張り認められず残念
「生きていれば、思い通りにならないことは確かにたくさんあるでしょう。でも、今回の思い通りにならないことを選手たちが受け入れることができるかどうか。この子たちは確かに力的にはなかったでしょう。でも、メンバーが揃わない中でもここまで頑張った。そのご褒美が今回形になるんだろうなって思っていたので残念です」