選手主体のチームマネジメント
悲願の甲子園へ、いざ勝負
高崎商大附が変革のときを迎えている。時代に応じて変化を遂げるチームは、マネジメントを一新して新境地を目指す。
■2019年夏 健大高崎に勝利
2019年夏2回戦で健大高崎に9対7で勝利しベスト8まで進出した高崎商大附。その後の2シーズンもバランスが取れたチームに仕上げて、上州のトーナメントにインパクトを与えてきた。過去2年の最高位は、2020年秋のベスト8で、2、3回戦敗退が多くなっているが、負けた相手は桐生第一、前橋育英、農大二など私学ライバルチームでいずれも僅差での敗戦となっている。昨秋は2回戦で前橋育英と対戦し、8回まで4対2とリードしていたが、9回表に守備の乱れから3失点して4対5の逆転負け。選手たちは悔しさを胸に刻んだ。
■「ケガ防止」と「選手の自立」
私学ライバルの壁を越えれば、確実に甲子園が近づく。そのためにはどうするべきか。今年の主軸となる3年生は、2019年夏の健大高崎戦勝利を知って、高崎商大附の門を叩いた選手たち。選手たちの能力、理解度は例年以上に高く、未知なるチャンスを秘めた世代だ。渡辺賢監督は、過去の反省から「ケガ防止」、そして「選手の自立」をテーマにオフシーズンに入ったという。チームは近年、選手たちが熱心に練習する一方で主力のケガに苦しんできた。コーチングスタッフは練習負荷を徹底的にコントロールし、万全の状態で夏を迎えることを目指している。さらに、新チームから、練習メニューは選手たちが考えている。今年のチームは、鎌田諒(中堅手)、佐々木大和(投手)、神宮暖(捕手)の3人の3年生が日替わりでキャプテンを務めるトリプルキャプテン制。3人の主将を中心に選手たちが話し合い、課題を克服している。渡辺賢監督は「今年は自主的に行動できる選手が多く、チームを変える大きなチャンス。選手と共に新しいチームの形を作っていきたい」と選手たちを見守る。
■自分たちの力を信じて
春開幕を前に、チームは順調に仕上がってきている。絶対エース佐々木は最速141キロのストレートを武器に、変化球のバリエーションを増やしている。佐々木は、秋季大会最終回で前橋育英に逆転された悔しさを胸に、強い気持ちでマウンドへ向かう。リードオフマンの鎌田が「秋の育英戦では、あと3つのアウトが取れなかった。春、夏は勝ちきれるチームになっていきたい」と話せば、神宮は「自分たちで練習を考えているので、すべては自分たち次第。これまでの努力を信じて甲子園を目指す」と力を込める。練習場がある碓氷川河川敷の空は、甲子園へとつながっている。