【東京成徳大高】 「変革期」

2022年のブレイクをいかに継承するか
「全力疾走」の原点回帰で再挑戦

2022年にブレイクした気鋭・東京成徳大高。2023年の選手たちは、秋季都大会1回戦敗退を糧に先輩たちの結果を超えていく。

■新チームの秋季都大会は初戦敗退  

「昨春・夏の結果は先輩たちの力。勘違いをしてはいけない」。就任11年目を迎えた森田正裕監督は、秋季都大会後に新チームの選手たちに伝えた。東京成徳大高は、昨春ベスト8、そして昨夏にベスト16という結果を残している。芦川楓真主将(3年)をはじめ、須藤竜童(3年)、坂本渉(3年)のダブルエースらを軸にトーナメントを席巻した。進撃を支えたのは、2年生レギュラーだった西絆斗(2年=内野手)、篠原一誠(2年=内野手)ら若獅子たち。技術と経験値を備える2年生たちが中心となった新チームは、自信を胸に秋季都大会へ臨んだが1回戦で多摩大目黒に屈する結果となった。都屈指のショートストッパー西は「自分たちは強いと思って、(トーナメントの)先を見てしまっていた。もう一度、足元を見つめ直さなければいけない」と悔しさを言葉にした。

■もう一度、原点に立ち戻る  

東京成徳大高の原点は「全力疾走」「カバーリング」。2012年から指揮を執る森田正裕監督は、多くの敗戦を味わいながらも地道な指導によって一つずつ結果を積み上げてきた。自分たちは、ブランド力のある強豪校ではない。やるべきことを遂行してきたことが前チームの結果につながったのだが、一つの戦果を残したことで、原点が薄れてしまったという。指揮官は「ひたむきに『全力疾走』や『カバーリング』をやってきたチームだったが、結果が出たことで綻びが出てしまった。もう一度、原点に立ち戻らなければいけない」と語る。新チーム始動時は、走攻守三拍子揃った中健斗主将(2年=外野手)体制だったが、攻守のキーマンである西も主将に据えて「ダブルキャプテン制」の“両輪駆動”に改良。選手たちの意識改革をうながしている。中主将は「もう一度、東京成徳の野球を追求していく」とチーム強化に取り組む。

■「背番号18のエース」の進化が鍵  

チームの鍵を握るのは、エース大野悠馬(2年)。秋時点の最速は137キロで、春・夏は140キロ超の球速を電光掲示板に示す可能性が高い。本来であれば秋季都大会で背番号1をもらうはずだったが、秋登録での背番号1は中主将。大野は背番号18となった。大野は都大会1回戦で2失点の好投こそ見せたがチームは0対2で惜敗。予期せぬ初戦敗退となってしまった。大野は「前チームの先輩ピッチャーたちは苦しい試合でも失点せずに勝ちきっていた。自分もチームを勝利に導く投手にならなければいけない。春には背番号1にふさわしいエースになりたい」と自覚する。背番号18のエースの変貌・進化がチームの命運を左右する。チームは年末に鹿児島・奄美大島強化合宿を実施し、チームの目指すべき方向を再確認した。秋は初戦敗退だったが、雑草は踏まれても立ち上がる。原点回帰を図ったチームは、再び愚直にボールに食らいついていく。

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