2万スイングで「冬の打撃強化」
春夏計10度の甲子園出場を誇る伝統校
春夏計10度の甲子園出場を誇る堀越。昨夏ベスト8のチームは、準々決勝の壁を越えて11度目の甲子園を狙っていく。
■立ちはだかるベスト8の壁
ベスト8の壁を打ち破るのは今年だ。春夏計10度の甲子園出場を果たす堀越は、1997年夏以来、聖地から遠ざかる。頂点を狙うチームだが、最近15年はどうしても準々決勝の関門を突破することができていない。2011年夏、2012年春、2018年夏、そして昨夏にベスト8。昨夏の東東京大会では、エース加藤宇、佐藤虎ノ介を軸に勝ち上がったが、大会中の体調不良によって主力数人が離脱。準々決勝・帝京戦は、満身創痍の戦いとなった中で加藤が力投したが力尽きた。チームにとって、準々決勝突破がタスクになっている。
■秋予選では激戦区を勝ち抜く
新チームは、秋1次予選で粘り強い戦いをみせた。1次予選1回戦で共栄学園に2対0で勝利すると、予選決勝では城東に9対3で競り勝ち、都大会出場を決めた。共栄学園、城東ともに都を代表する実力校。激戦区を勝ち抜いたチームは士気が一気に高まった。しかし、都大会2回戦で海城に5対6で惜敗。選手たちは肩を落として球場を後にした。小田川雅彦監督は「1次予選2試合は粘り強い戦いができて、褒められる内容だった。だが都大会では力を発揮することができなかった。それがチームの未熟さです」と振り返る。チームは、12月からの1カ月で「素振り2万本」をノルマにした。選手たちは練習の最後にバットを振り、練習後はそれぞれが自宅や選手寮でバットを振った。ハンガリー人の父親を持つ主砲・フェルディ クリスティアン直人(3年=外野手)は「手にマメができてボコボコになったが2万本を振り抜いたときは達成感があった。春、夏の試合で成長した姿をみせたい」と実戦を待つ。
■ベスト8を越えて頂点へ
チームを力強く牽引するのは、リーダーシップと責任感を備えた草場陸主将(3年=捕手)。攻守の要となる草場主将は、声をからしながら仲間たちに指示を出し、チームを鼓舞している。投手陣は、左腕エース堀口太壱(3年)が多彩な変化球を駆使してゲームを安定させる。最速135キロの本格派右腕・中村柊也(3年=投手・外野手)も夏に照準を合わせて準備を進める。打線は2番・草場主将、3番・中村、4番・フェルディ、5番・髙田瑛司(3年=内野手)で得点を稼ぐ。草場主将は「監督に言われて動くのではなく、自分たちで気付いて行動していかなければいけない。1日1日を大切にしていくことが大切。春にシード権を取って、夏の甲子園を目指していく」と力を込める。一つになるチームはベスト8を越えて、頂点を目指す。選手たちは目の前の壁を「未来への扉」へ変えていく。