進学校の野球を追求し勝利へつなげる
投打の地力が高まるチームは飛躍の予感漂う
文武両道進学校・前橋南に変化の胎動がみえている。自分たちのスタイルを構築するチームは進学校の野球を追求し勝利へつなげていく。
■選手が成長できる環境
変化の兆しがはっきりと見えている。県都・前橋市で前橋高に次ぐ進学校・前橋南は、2021年秋から安田智則監督(元前橋高監督)が指揮を執る。前橋南の選手数は、現在2年生8人、1年生5人の13人。進学校の野球を追求してきた指揮官は、部員一人ひとりに寄り添いながら、選手の成長をうながしている。平日は、ティー打撃、スイングの軌道チェック、守備での足の動かし方などのドリル練習を繰り返し、週末の実戦練習で成果を確認していく。トレーニングでは、個人の課題練習の時間を多く取り入れて、選手自身が考えながら練習に打ち込んでいく。2年生部員には、野球未経験で入部してきた岸部奏(2年)がいるが、コツコツと努力してきた結果が試合でのヒットにつながった。岸部の成長が、前橋南野球部の成長環境を物語っている。
■選手たち同士のサインで積極プレー
前橋南が目指すのは、選手たち自らが考えてプレーする「プレーヤーズジャッジ」。監督と選手が戦略を共有しながら、選手たち同士がサインや目線などでのコミュニケーションを図り、アクションを起こしていく野球だ。安田監督が前任の前橋高時代から取り組んできたもので、進学校の野球スタイルとして前橋南でも実践している。昨秋の県大会1回戦藤岡工戦では、選手たちが積極的にスチールを狙い、11盗塁をマーク。ゲームは1点を争う展開となったが、「プレーヤーズジャッジ」による果敢な走塁で相手に圧力をかけた前橋南が6対5で勝利。2番・角田樹(2年=外野手)は4盗塁を決めて勝利に貢献してみせた。2回戦では明和県央に0対7で敗れたが、決して戦えていないわけではなかった。選手たちは、秋の反省を踏まえて冬の課題練習に向き合い、春を待つ。
■過去最高は夏4回戦、いざ進撃へ
今年のチームは、大きな可能性を秘めている。米山七海主将(2年=内野手)を中心に一つになる前橋南は、投打の軸が固まってきた。打撃の柱は、打率&長打力でチームトップの主砲・髙野温生(2年=外野手)。1番・江原勇吹(2年=捕手)、2番・角田、3番・米山主将、4番・髙野と続く上位打線は、盗塁やエンドランを絡めた攻撃を展開。エースは、しなやかな腕の振りから球速以上に伸びのあるストレートを投げ込む実戦派右腕・平形陽哉(2年)。地力が高まるチームは、春・夏のダークホースとなる可能性を秘めている。安田監督は「練習した分だけ選手は成長し、その成果を出してくれている。監督の役割は選手たちをサポートすること。選手たちの意識、行動が変わることによってチームは強くなっていくと考えている」と話す。前橋南のグラウンドでは、選手たちが本気で野球を楽しみながら勝利を追求している。今年のチームのスローガンは「繋(つなぐ)」。選手たちは、それぞれの強みをつなぎ合わせて、自分たちの力で勝利をつかみ取っていく。