2021年夏に初のベスト4進出
2011年創部のチームに「甲子園の光」
2021年夏に初のベスト4進出を果たした宇都宮短大附属。栃木の勢力図を変えてきたチームには、甲子園への道がはっきりと見えてきた。
■2017年夏、人工芝専用球場完成
宇都宮短大附属は2011年に野球部が誕生。選手たちが“情熱のたすき”をつないだことよって成長を遂げたチームは2014年秋に公式戦初勝利を果たすと、2015年夏に夏初勝利を挙げた。そして、2016年秋には創部初のベスト8へ進出。2017年夏には、学校の支援によって両翼98メートル、中堅122メートルの全面人工芝の専用球場が完成した。環境が充実した宇都宮短大附属は2019年夏、2020年秋にベスト8入りすると、2021年夏には、“甲子園にあと2勝”に迫るベスト4まで進出してみせた。創部から13年でチームは大きく進化した。前チームの右腕エース中村拓馬が独立リーグ栃木ゴールデンブレーブスへ入団するなど選手個人も大きく成長している。
■創部13年、積み上げてきた実績
創部当時からチームを指揮するのは、増田清監督だ。当初の厳しい練習環境の中でも選手に寄り添ってきた。2017年夏に完成した専用球場のバックネット裏の管理室には、「選手権栃木大会初勝利」「新グラウンド初ホームラン」などの記念ボールが並んでいる。選手と共に一つひとつの結果を刻んできたことが今のチームの歴史となっている。当初15人ほどだった部員は、3学年で70人を超える大所帯となった。専用球場が完成しチームが大きくなっても、創部当時の志は忘れない。増田監督は「先輩たちが試行錯誤して積み上げてきた実績の上に今のチームがある。球場完成から5年で練習方法も確立され、戦える土台ができてきたと思う。ここからが本当に勝負になる」と確かな手応えを感じている。
■自分たちで考える新しいスタイル
今年のチームは、柴山嶺都主将(3年=内野手・捕手)を軸に士気が上がる。打撃陣は、飛距離を伸ばす主砲・中村優太(3年=内野手)を大黒柱に、須藤亮星(3年=内・外野野手)、坂和春瞳(3年=捕手)ら好打者が揃う。最速132キロ右腕の岡川剣士(3年)、縦スライダーが武器の鈴木英夫(3年)、本格派左腕・小林和慎(3年)らタイプの違うピッチャーがマウンドへ上がる。力を伸ばす3年生に加えて、2年生たちのスケールの大きさも目立つ。宇都宮短大附属は今季から柴山主将を中心にして自主的に練習に取り組んでいる。選手たちはミーティングを重ねて、自分たちの意見を発信。受け身ではなく、能動的に野球に向き合う。柴山主将は「受け身ではなく自分たちで考えながら新しい宇都宮短大附属をつくっていきたい」と視線を上げる。甲子園がはっきりと見えてきたチームだが、山は頂点が見えてから険しさを増す。宇都宮短大附属は、選手主体のスタイルで悲願の甲子園を目指す。