サインは自分たちで出す!
秋季県大会で価値ある「2勝」
高崎東は、自分たちでサインを出してプレーする「決断野球」に取り組んでいる。失敗を恐れずにチャレンジする姿勢を追求していく。
■セルフジャッジベースボール
高崎東は、選手たちがサインを出す「セルフジャッジベースボール」にチャレンジしている。高崎東は2019年度まで西目光司前監督が指揮を執り、原嶋進志現監督が部長を務めていた。チームは「考える野球」を構築中だった。だが、同年度末に西目前監督が異動となり、2020年4月から原嶋監督がチームを引き継ぐことになった。それまでの野球を継続するため「(戦い方を知っている)選手でサインを出していこう」と選手たちに伝えた。春大会を終えて選手たちにあらためて聞いたが「サインを出してほしい」と言われた。ただ、指揮官は、“サイン待ち”“指示待ち”になってしまった選手に物足りなさを感じた。そして、夏大会でも、選手たちが打席で判断する「決断野球」を決行。結果は高崎に初戦で敗れたが原嶋監督は手応えを感じた。
■自分たちのサインでアクション
世代が変わり新チームになっても「決断野球」は継続した。チームとしての規律・方向性を練習で確認した上で、試合では選手たちの判断に委ねた。“指示待ち”から脱却した選手たちは、指揮官が想像できないようなプレーをみせるシーンが増えた。もちろん失敗もあるが、チャレンジした末の結果。選手が判断できないときに監督にアドバイスを求める「HELPサイン」も採用した。原嶋監督は「いまの高校生たちはコロナ禍になって、学校生活での指示待ちが多くなってしまった面がある。自分たちでサインを出し合うということは、コミュニケーションを図って考えを共有しなければいけない。それが選手たちの成長につながると感じた」と語る。山下慶太郎主将(3年=捕手)は「たとえばスクイズのサインを自分が出したら、必ず成功させなければいけない。そのために練習から真剣になるので野球を楽しむことができています」と印象を話す。高崎東は、自分たちのサインでアクションを起こす。
■新たな野球にチャレンジ
新たな野球にチャレンジする高崎東は、昨秋の県大会で結果を残した。1回戦で新田暁に5対1で勝利すると2回戦では藤岡北に6対4で競り勝ってみせた。2018年夏以来の大会2勝となった。チームでは個性あふれる選手が学年の枠を越えて切磋琢磨している。投手陣は田村優桜(3年=投手)を軸に、長壁維吹(2年)、左腕・天田悠太郎(2年)らタイプの違うピッチャーが並ぶ。打撃は、アベレージヒッター・石川和幸(3年=外野手・投手)、主砲・川野慈英(3年=内野手)がクリーンアップに座る。冬を越えてスケールアップしたチームは、夏のベスト4以上を目標に、自らの意志でサインを出していく。失敗は恐れない。選手一人ひとりの「決断」と「責任」が躍進の原動力となる。