4度の甲子園出場の実績を誇る伝統校
プロ注目の大型遊撃手・田上を軸に全員野球
4度の甲子園出場の実績を誇る伝統校・日大藤沢。昨年の秋季県大会でベスト4進出を果たしたチームは、5度目の甲子園を射程距離に入れている。
■1勝、1打席、1球の重み
2007年春に選抜出場を果たした日大藤沢。あれから16年、チームは再び甲子園の土を踏むべく、鍛錬を積んでいる。昨秋には、甲子園に迫った。日大藤沢は、県大会準々決勝で相洋と対戦して、左腕エース佐藤快司(3年)の好投によって2対0で勝利して準決勝へ。慶応との対戦となった。日大藤沢は0対5で5回を終えたが、6回以降に反撃を開始。9回裏には6対7で二死満塁のチャンスを迎えた。一打出れば、逆転サヨナラのシーンだったが、最後の打者が打ち取られて惜敗となった。勝った慶応は神奈川準優勝で関東大会へ出場しベスト4となり選抜出場を果たした。日大藤沢は、1勝、1打席、1球の重みを痛感して冬へ向かった。
■就任20年目を迎える指揮官
コロナ禍を経て、高校野球を取り巻く環境は劇的に変わった。それは、日大藤沢も例外ではない。限られた環境の中で成長するには、自分たちの意思が必要。時代に流れとともに、やらされる時代は終わり、今は自分たちで道を切り拓いていかなければいけない。2004年に指揮官に就任し2007年春の選抜へ出場、今年20年目を迎える山本秀明監督は「自分で自分を追い込める選手は、確実に成長していく。このチームは秋にベスト4となり、“やってやれない世代”ではない。だからこそ、切磋琢磨して高め合ってほしい」と成長を見守っている。選手たちの潜在能力は十分。2007年春の選抜以来の甲子園出場は決して夢ではない。
■すべては甲子園のために
チームは冬を越えて、さらにたくましくなった。今年の3年生は、山本監督就任後、最も多い38人の大所帯。チームをまとめるのは、柳沢悠斗主将(3年=外野手)。3塁コーチやベンチワークでチームを盛り上げる主将を軸に、日大藤沢は夏へ向かっていく。チームの軸は、主砲・田上優弥(3年=内野手)、杉山大和(3年=外野手)の強打者ふたり。彼らがクリーンアップで役割を果たすことでチームのスイッチが入る。さらに、強肩強打の中里柾斗(3年=外野手)、県屈指のスピードスター矢島悠豊(3年=外野手)が力を伸ばし、打線は活気付く。マウンドでは最速134キロの実戦派サウスポー佐藤がキレのあるボールでイニングを進めていく。投打のタレントが揃うチームは、虎視眈々と甲子園を狙う。柳沢主将は「高校野球の残り時間はわずか。すべてを甲子園出場ために費やして、神奈川の頂点に立ちたい」と話す。38人の3年生たちの思いが、甲子園への扉を開く。