【星槎国際湘南】「必笑下剋上」

必笑野球で1つでも多くの勝利を
家族同然の団結力を武器に

 “名将”土屋恵三郎監督率いる星槎国際湘南。春の1回戦敗退からノーシードで迎える今夏、これまでと変わらぬ“必笑野球”で同校初の神奈川制覇を目指す。

■故障者が相次いだ春  

昨秋の4回戦で藤沢翔陵に3対5で惜敗した悔しさを晴らすはずだった今春。地区予選こそ3連勝で突破するも、県1回戦で横須賀学院に0対2で敗れた。だが、理由は明白だ。エースの姜亜秀(3年=投手)、久保倉裕人(2年=捕手)のバッテリーと正遊撃手の宮澤義満(2年=内野手)を欠き、他の選手たちも本職ではないポジションで出場。自分たちの力を発揮することができなかった。  しかし故障者が戻った現在は、本来の姿を取り戻している。多彩な変化球で試合を作るエース左腕の姜は、昨夏も先発1試合を含む3試合に登板して経験豊富。野手陣はホームランバッターこそいないが、打者全員がライナー性の打球を弾き返し、粘り強くヒットを重ね、得点を奪う。そして鍛え上げられた守備には特に自信あり。土屋監督は「投手を中心とした守りの野球、守りから流れを作る野球をやっていきたい。我々は雑草軍団。中学時代は目立たない選手でも、高校で大きく成長した姿を見せてもらいたい」と期待する。

■全寮制で育むチームワーク  

チームの強みは「団結力」にある。部員全員が入学と同時に野球部の『高飛寮』に入り、寝食を共にする中で、先輩後輩関係なく助け合いながら生活。親元から離れて暮らす中で、地元の方たちとも関わりながら礼儀作法と生活習慣、大人になるために必要な自立心を育む。もちろん“楽しむ”ことも忘れず。土屋監督の誕生日には毎年、「ハッピーバースデー」の大合唱を贈る。  チームをまとめる近藤弦己主将(3年=外野手)は「寮での生活も含めて、全員が普段から常に一緒にいて、みんなが何でも言い合えるチームになっている」と言えば、土屋監督は「うちは全員が家族同然ですから。チームワークは他のどの高校にも負けないでしょう」と目を細める。

■ノーシードからの快進撃を  

最高成績は2020年夏のベスト4だ。「その時もノーシードから勝ち上がった。自分たちに怖いものはない。目指すは下剋上です。全員野球で戦いたい」。近藤主将は言葉に力を込める。69歳となった今も、誰よりも“野球愛”を弾かせている土屋監督は「3年生たちは最後の夏。必笑を貫いて、1日でも長く星槎のユニフォームを着て戦ってもらいたい」と“子どもたち”の背中を押す。欲を出さずに、1球1球を大切に。勝負の夏が始まる。

 

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