昨夏の東東京大会で初のベスト8進出
去年の戦力を維持する都立名門が甲子園へ挑む
昨夏の東東京大会で初のベスト8へ進出した文京。先輩たちの好結果を受けて指導したチームはこの1年、決して順調ではなかったが、選手たちは悩み、励まし合いながら成長してきた。
■過酷な冬のトレーニングで心身強化
文京は昨夏の東東京大会で次々と逆転劇を演じて創部初のベスト8へ進出した。多くの1・2年生プレーヤーが活躍し、そのまま新チームへ以降した。新生・文京は自信を胸に秋予選に臨んだが、一次予選で明法に6対7で敗れて予選敗退となってしまった。新チームのキャプテンとなった須藤勇真主将(3年=内野手)は「先輩たちが夏に結果を残しての秋だったが情けない結果に終わりました。自分たちが弱いんだな、と気付かされた。そこからは不安しかなかった」と振り返る。選手たちは、梨本浩司監督のアドバイスを受けて、過酷な冬のトレーニングを自主的に実行した。すべては夏のため。選手たちはそれぞれが自分を追い込み、自身と向き合った。
■春ベスト32、夏への手応え
冬を乗り切って迎えた春大会。チームには緊張感が漂っていた。そんなとき、ムードメーカー尾上空(3年=外野手)が「オレたちは冬に頑張ってきた。梨本先生から教えてもらったメニューを必死にやってきたので大丈夫。もし結果が出なかったら梨本先生の責任だ。試合に集中しよう」と冗談を言ってチームメイトを和ませたという。百戦錬磨のベテラン指揮官は「思わず、私も笑ってしまいました。去年もそうでしたが、生徒たちは自分たちで考えて、チームを盛り上げていくことができます。私自身も楽しみながら指導をさせてもらっています」と笑みをみせる。チームは春大会で駒込学園、日大豊山を破り2勝を挙げてベスト32へ進出。夏への手応えをつかんだ。
■高校野球という舞台を楽しむ
夏を控えるチームは、昨夏からクリーンアップを張る須藤主将、都屈指の勝負強さを誇るお祭り男・尾上を軸に団結している。投手陣は、エース峰尾賢人(3年)、水野耀喜(2年)のふたりが昨夏のマウンドを経験し心強い。また酒匂理雄(2年)も球威を上げる。打撃陣も主砲・城俊平(3年=内野手)、安井義光(3年=外野手)らが力を伸ばして打線の厚みが増している。尾上は「秋の予選敗退があったから僕らは成長できました。今年の夏も、やってやります」と開幕を待つ。 文京は今年の夏も、魅力ある戦いをみせてくれることだろう。高校野球という舞台を楽しんだ先にベスト8越え、そして甲子園が見えてくる。文京の「夏祭り」が今年も始まろうとしている。