走攻守のスペシャリストが揃った個性派軍団
甲子園で堂々たる戦いを演じて初の準優勝

関東一が第106回全国高等学校野球選手権大会で決勝に進出、惜しくも優勝は逃したが準優勝となった。盤石な投手陣を軸にしたチームは、頂点に立つことはできなかったものの新たな歴史の扉を開いた。

■一戦一戦で進化を遂げた選手たち

関東一は今夏の東東京大会から一戦一戦で進化を遂げた。東東京大会準決勝で二松学舎大附、決勝で帝京に勝利して5年ぶり9回目の甲子園切符を手にした。高橋徹平主将を軸にしたチームは、走攻守のスペシャリストが集まった個性派軍団。投手陣は、甲子園でエースナンバーをつけたサウスポー畠中鉄心、最速151キロのプロ注目右腕・坂井遼、技巧派左腕・坂本慎太郎、情熱派・大後武尊というタイプの違うピッチャーが揃った。打撃は、坂本、高橋、成井聡ら主軸がチームバッティングを実践。ショートストッパー市川歩は、突出した守備力でアウトを重ねる守備職人。多彩なタレントが集まったチームは大舞台でその力を余すところなく体現していった。

■準決勝と決勝は歴史に残る激闘

クライマックスは準決勝と決勝だった。投打の総力戦となった極限状態で関東一の選手たちは最高のパフォーマンスを披露した。準決勝・神村学園戦では2対1で迎えた9回二死1・2塁の守備で、相手センター前安打からセンター飛田優悟がホームへ好返球し2塁走者を刺して危機回避し決勝進出を果たした。「奇跡のバックホーム」をみせた飛田は「今までの練習で積み重ねてきたことがバックホームにつながった」と練習の成果を示した。決勝戦では京都国際と9回までスコアレスの緊迫したゲームを展開した。延長タイブレークの結果によって1対2の惜敗で準優勝となったが、優勝と同じ“価値”があった。高橋は「甲子園では勝ち上がるごとにチームとしてプレー面だけではなく精神面でも成長していった。甲子園という場所が力を引き出してくれた。準優勝という結果に悔しさはあるが、やりきった気持ちです」と激闘を振り返った。関東一の戦いは、甲子園の歴史に刻まれる。

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