昨春、昨夏ベスト16の伝統進学校
伝統の矜持を夏の舞台で体現
文武両道を徹底的に貫く伝統進学校・湘南。昨夏ベスト16のチームは、5回戦の壁を突破して新たな歴史の扉を開いていく。
■先輩たちから学んだもの
昨夏の戦力は残っている。エース村田純大、キャッチャー豊原拓弥、主砲・安西和樹ら3年生を軸にした湘南は、投打に力強い戦いをみせると2回戦で三浦学苑、3回戦で関東学院、4回戦で相模原弥栄に勝利して5回戦へ進出。ベスト8入りをかけて横浜に挑んだがじわじわと引き離されて0対7の7回コールドで屈した。決して戦えていないわけではなかったが力が及ばなかった。エース村田をはじめ引退した3年生たちは受験勉強に励みながらも後輩たちにアドバイスを送り、情熱のタスキを渡した。政近岳主将(2年=内野手)は「先輩たちから学んだものを自分たちの力にしていかなければいけない」と恩返しを誓う。
■最速142キロの本格派右腕・鈴木
2024年夏へ向かうチームの軸となるのは、最速142キロの本格派右腕・鈴木雄飛(2年)。中学野球名門・中本牧リトルシニア出身で、私学強豪が熱視線を送る中で文武両道を目指すために湘南へ入学した。身長177センチの剛腕で高校入学時には体重が75キロだったがフィジカルトレーニングなどによって84キロまでアップ。昨夏からエース村田とのダブルエース体制でマウンドに立った。新チームでは絶対エースとしてタスクがあったが、コンディションが整わずに本来の投球ができなかった。鈴木は「体幹トレーニングや走り込みなどでキレが戻ってきた。春・夏は私学強豪を抑えるピッチングをみせて勝利に貢献したい」と冬の練習に励む。
■チーム全体にポテンシャル
湘南の収穫は、エース鈴木以外の投手が力を伸ばしてきたことだ。倉科陽(2年)、川名真弘(2年)、秋元一宙(2年)らタイプの違う右腕がゲームを作れるようになってきた。打線は、前チームから主軸だったリードオフマン須藤佑太(2年=外野手)を中心に、安西正翔(2年=外野手)、湯川伶(2年=外野手)らが鋭い打球を放つ。川村靖監督は「須藤の打撃センスは神奈川屈指。今年は、鈴木が注目されるがチーム全体にポテンシャルがある。壁は必ずあるが工夫して練習することで成長していくと思う」と見守る。湘南は、伝統の矜持を夏の舞台で体現していく。