【栃木】「伝統の誇り」

県下屈指の伝統進学校の挑戦
文武両道を貫き「90年の扉」を開ける

 

1930年代に2度の甲子園出場実績を持つ栃木。文武両道を貫くチームは、OB指揮官を迎えて再び士気が高まっている。

■新たな歴史を刻むべく鍛錬を積む

県下屈指の伝統進学校・栃木は1933年夏、1934年春に甲子園出場した実績を誇る。栄光から90年が経過したが、選手たちは誇りを胸に変わらぬ姿勢で野球に打ち込む。2015年春には進撃をみせてベスト4へ進出。2015年秋、2016年春にもベスト8へ到達している。以降は2回戦の壁を突破できない時期が続くが2023年春には3回戦進出。2023年夏2回戦では前年度優勝校・国学院栃木と対戦し、8回まで4対6の接戦を演じた。9回に6失点して5対12で屈したが、私学強豪に対しての善戦は地域、OBらに勇気を届けた。2024年のチームは、夏の中心メンバーだったバッテリーなどが残り、新たな歴史を刻むべく練習に励む。

■伝統進学校の戦いを極める

2023年5月からは、OBの入江智宏監督がチームを率いている。栃木で外野手として活躍後に早稲田大へ入学。名門大で野球に打ち込み、「母校を甲子園へ」の夢を持って教員の道へ進んだ。上三川、栃木商で監督を務めて2021年に母校へ着任し、顧問・部長に。父・吉晴さんもかつて栃木監督で、1985年夏、作新学院に勝ち8強に進出。親子2代で伝統校のタクトを任されたことになる。自身の現役時代のユニホームをまとってグラウンドに立つ入江監督は「1985年以来、高校野球の集大成といえる夏の大会で8強に入っていない。まずはそれを超えること。2023夏は国学院栃木と好勝負が出来たようにチャンスは必ずある。選手たちには伝統のユニホームの誇りをプレーで体現してほしい。野球も勉強も頑張りたいという生徒に、栃高(とちたか)を選んでもらえるように魅力あるチームにしていきたい」と、後輩たちと共に歩む。

■投打のバランス整うダークホース

現在の部員数は2年生10人、1年生8人。2024年のチームは、夏からレギュラーだった山口遥生主将(2年=捕手)、エース須田統大(2年)が軸となる。エース須田は投球術に長けた実戦派で、格上を抑え込む力を秘める。「一球を大切にして、緩急を活かしたピッチングでチームの勝利に貢献したい」(須田)。ショートストッパー野田泰誓(2年=内野手)、セカンド石塚善大(2年=内野手)、センター長竹柚希(2年=外野手)のセンターラインが安定。昨秋大会は、チームのコンディションが整わずに大田原に敗れたが春・夏に向けて巻き返しを誓う。山口主将は「今年のチームは経験値も高く、投打のバランスが整っている。伝統復活のために一丸となって戦っていく」と気持ちを高める。1934年春に甲子園出場を果たしたチームは、2024年に90年の扉を開く。栃木は伝統進学校の戦いを極めていく。

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