向上  「ALL OUT」

悲願の甲子園へ「全身全霊」
夏のチケットは1枚のみ善戦で満足するべからず

 

向上は、2014年夏に準優勝、2021年秋に初の関東大会出場を果たすなど悲願の甲子園への歩みを続ける。初の甲子園出場は手の届く位置にある。

■秋は横浜相手に激闘を演じる

昨秋の3回戦で横浜相手に激闘を演じた。2回戦で橘学苑に勝利し3回戦へ駒を進めた向上は、横浜と対峙した。士気高くゲームへ臨んだチームは1対3で迎えた5回に満塁の好機を迎えると百瀬匠(3年=投手)、富澤創平(3年=捕手)のタイムリーなどで3点を奪って逆転に成功した。向上は先発の百瀬から、齋藤禅之輔(3年)、桧原佳威(3年)の継投でピンチをしのいで7回まで4対3でリード。しかし8回に同点に追いつかれると、4対4で延長タイブレークに突入した。10回表に1点を奪って勝ち越したが、その裏に2失点してサヨナラ負け。横浜を土俵際まで追い詰めながらも勝利をつかむことができなかった。

■“甲子園切符”はつかみ取るもの

横浜相手に1点差の惜敗。周囲からは「良くやった」という声も挙がったが、平田隆康監督をはじめ選手たちの表情からは悔しさがにじみ出ていた。指揮官は「理想通りのゲームプラン。周囲は好ゲームで満足してくれたかもしれないが、悔しさしか残らなかった。横浜相手に良いゲームで満足していたら甲子園には行けない」と語る。チームは2014年夏に準優勝、2021年秋に初の関東大会出場を果たしたが、“あと一歩”で甲子園出場を逃している。夏の神奈川に割り当てられる切符は1枚のみ。“甲子園切符”は届くものではなく、自分たちの手でつかみ取るもの。向上はスローガンである「ALL OUT」の原点に立ち戻って、全身全霊で甲子園チケットをつかみに行く。

■最速141キロのエース百瀬が軸

今季のチームは、オフシーズンのトレーニングによって大きな進化を遂げている。スタメン9人だけではなくチーム全員がレベルアップ。熾烈な競争によってチームは活性している。投手陣は、最速141キロの本格派・エース百瀬のほか、最速137キロのスライダーピッチャー大森逢沙斗(3年)、変則の大型サウスポー齋藤らタイプの違うピッチャーが揃う。打撃は、石井敦也(3年=外野手)、佐藤陽成(2年=内野手)らが勝負強いバッティングで攻撃を牽引していく。守備では、キャッチャーの富澤が軸となる。北野龍彦主将(3年=外野手)は「今年のチームには強い気持ちがある。僕たち59代で甲子園へ行って向上の歴史を変えたい」と夏を見据える。選手たちは神奈川の優勝旗を学び舎に持ち帰るために闘い続ける。

おすすめの記事