2年連続12回目の選抜決定
能登半島地震への配慮で胴上げは自粛
秋季関東大会王者の作新学院が、2年連続12回目となる選抜出場を決めた。昨秋の関東大会を制して迎える今春の選抜は、関東王者として全国制覇へ臨む。(取材/永島一顕)
■吉報届くも気の緩みなし
1月26日の選抜選考委員会の当日、部員たちはネット中継を通じて発表の様子を見守った。関東の先陣を切って学校名が呼ばれた際も、彼らの表情は引き締まったままだった。選考委員会からは「つながりある強力打線と大会屈指の小川哲平投手らを擁し、投打が充実している」と評価された。チームを牽引した小森一誠主将(2年=外野手)は「(校名を)呼ばれて満足していてはいけない。気の緩みを見せないぞ、という思いの表れ」と、全部員の心情を言葉にした。
■明治神宮大会では堂々の準優勝
昨秋県大会で2連覇を果たした作新学院は、地元栃木開催の関東大会でも常総学院、山梨学院など強豪校を撃破し関東王座に就いた。さらに、関東王者として臨んだ明治神宮大会は、初戦で北海(北海道)をタイブレークの末に破り、準決勝では関東一(東京)に逆転勝ち。決勝で星稜(石川)に敗れたものの、堂々の準優勝。チーム力の高さを全国に示した。作新学院の「選抜当確」は、誰が見ても疑う余地はなかった。ただ、選手たちに喜び、安どする気持ちはまったくなかった。むしろ、星稜に敗れた悔しさが何よりも心に響いていた。
■被災地を配慮し胴上げを辞退
明治神宮大会決勝・星稜戦がチームの刺激になっている。1対3で敗れた星稜との戦いでは「学ぶことが多く、勝つために何が必要なのかを考えさせられた」(小森主将)。小針崇宏監督からは「秋のままのチームでは勝てないよ」と言われ、選手各々が、オフシーズンのトレーニングに向上心を持って取り組んだ。常に星稜を意識しながら練習を重ね迎えた元日、星稜の地元石川県で能登半島地震が発生。小針監督は「星稜とは練習試合を行うなど縁を感じており、被災地を思いながら選抜発表の日を迎えた」と配慮した。小森主将は「星稜との戦いがあったから今の自分たちがある。全力プレーで被災地の方々にも元気が届けられたら思う」と話した。会見を終えた小針監督は、祝福の胴上げを辞退。選手たちは被災地の球児たちの心境を鑑みながら、喜びをかみ締めた。明治神宮大会準優勝の作新学院は、優勝候補の一角として甲子園の舞台を踏む。
エース/小川哲平(2年)(右端)
主将/小森一誠主将(2年=左翼手)【日本一へ一戦必勝】
「うれしい一方で、関東の王者らしいプレーをしなくてはいけないという責任の気持ちが芽生えてきた。明治神宮大会で日本一になれなかったので、この春にもらえたチャンスを生かして日本一になれるようにチーム一丸となって一戦ずつ戦っていきたい」
監督/作新学院・小針崇宏監督【甲子園球場で胴上げをみせたい】
「元日に能登半島地震がありましたので、また甲子園球場で星稜高校(石川県)と戦えるようなチームになることの方が先決だろうということで、今日は監督として宙に舞うということは遠慮させてもらった。選手たちには、もう1度甲子園球場で胴上げしてもらおうかなと思います」